細胞培養系によるゼブラフィッシュの精原幹細胞から機能的精子までの分化

小型魚類開発研究室・酒井研究室

Differentiation of zebrafish spermatogonial stem cells to functional sperm in culture.

Toshihiro Kawasaki, Kellee R Siegfried and Noriyoshi Sakai.

Development, 2016 143: 566-574; DOI:10.1242/dev.129643

精子形成は精原幹細胞の自己再生と分化によって維持され、分化した精原細胞は細胞架橋でつながったシスト分裂により増幅した後、減数分裂を経て機能的な精子へと分化します。 この複雑な過程が成体の精巣内で起こるため、制御因子等の遺伝学的解析は容易ではありません。そこで私たちは、ゼブラフィッシュを用いて精子形成をin vitroで再現する細胞培養系の開発を進めました。 はじめに、精原幹細胞が過増殖した肥大化精巣に着目し、この組織を継代維持する方法として免疫不全ゼブラフィッシュへの移植法を確立しました。 肥大化精巣はゼブラフィッシュで極まれに見つかるものですが、この方法により、必要なときに必要な量の肥大化精巣が使えるようになりました。 そして、肥大化精巣を用いて精原幹細胞を効率よく増殖させる培養とそれを精子まで分化させる培養の条件を検討し、精子形成全過程を再現する細胞培養系を動物で初めて確立することができました。

これにより、精子形成の制御因子や影響を与える化合物などをin vitroで解析したり、特定の細胞や細胞内構造体をライブイメージングすることが容易になりました。 本研究では、その一例として酸素の精子形成に及ぼす影響を調べ、空気中の酸素濃度(20%)が精原幹細胞から機能的精子への分化に阻害的に働くことを見つけています。 本研究は科研費(23013023, 25251034, 25114003)の支援を受けています。

Figure1

精原幹細胞で緑色蛍光タンパクを発現する系統を用いた精原幹細胞−精子の細胞培養。 精原幹細胞培養系では精原幹細胞が増殖するのに対して(左および中央パネル)、精子への分化培養系では精原幹細胞が機能的精子へと分化していく(右パネル)。


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