卵母細胞からの中心体消失〜減数分裂時の中心体動態を司るLIN-41〜

分子遺伝研究系 中心体生物学研究部門•北川研究室

LIN-41 inactivation leads to delayed centrosome elimination and abnormal chromosome behavior during female meiosis in Caenorhabditis elegans

Rieko Matsuura, Tomoko Ashikawa, Yuka Nozaki and Daiju Kitagawa

Molecular Biology of the Cell, 2016 DOI:10.1091/mbc.E15-10-0713

中心体は生命現象の様々な局面で司令塔として働く細胞小器官です。その主な役割は、微小管形成中心(=中心体活性)として機能し、娘細胞へ染色体を均等に分配することです。中心体の複製や機能に異常が生じると染色体分配に影響を及ぼしますので、がんや不妊症などの原因にもなりえます。
興味深いことに、動物の受精卵には精子中心体が継承され、卵中心体は受精前に消失することがわかっています。この「卵中心体の消失」は後生動物に共通した現象ですが、メカニズムはほとんど研究されていません。
そこで我々は 、線虫の胚発生に重要な遺伝子約500個をノックダウンし、卵成熟過程における中心体動態の表現型を観察することで、卵中心体消失を積極的に誘導する因子を探索しました。左図のように、野生型では、減数分裂期に入った中心体は不活性化しており、卵が成長する過程(第一減数分裂前期複糸期)で次第に消失します。しかし、lin-41 遺伝子の発現を抑制すると、減数分裂中にも関わらず中心体の再活性化が見られ、最終的に中心体消失が抑制されることを見出しました。さらに興味深いことに、活性化された中心体は二極化した紡錘体を形成するものの、全ての染色体が片方の紡錘体極のみに引き寄せられるという奇妙な現象が見られることがわかりました。
今回の研究では、LIN-41が減数分裂時において中心体活性及び動態を制御することで、適切な減数分裂進行を担っていることが明らかにされました。
本研究は、学術振興会 科研費(24687026 24113003)、武田科学振興財団、内藤記念科学振興財団の支援を受けました。

Figure1

  • Twitter
  • facebook
  • youtube