細胞分裂を正しく導く中心体 ─複製が1コピーに限られる仕組みを解明─

Press Release

Direct interaction of Plk4 with STIL ensures formation of a single procentriole per parental centriole

Midori Ohta, Tomoko Ashikawa, Yuka Nozaki, Hiroko Kozuka-Hata, Hidemasa Goto, Masaki Inagaki, Masaaki Oyama and Daiju Kitagawa Nature Communications 5, Article number: 5267 DOI:10.1038/ncomms6267

プレスリリース資料

 細胞分裂時には染色体が分かれ、新たに生じた2つの細胞それぞれに分配されます。均等になるように染色体が移動していくのですが、それにはどのような仕組みが働いているのでしょうか?実は糸のような微小管が伸びてきて、染色体を引っ張り移動させているのです。その微小管が伸びる起点となるのが、中心体と呼ばれる細胞内小器官です。

 中心体は100年以上前に発見されていましたが、その構築メカニズムはこれまであまり分かっておらず、近年爆発的に分子的な解明が進んできた小さな細胞内器官です。通常、1つの細胞に中心体は1つしかありません。しかし、細胞分裂時には複製されて2つになり、対極に分かれて染色体を引っ張ることで、細胞分裂は正しく行われます。もし余分に複製されることがあると染色体を適切に分配することができませんから、細胞分裂に支障が出て、がんなどの病気が引き起こされかねません。

 今回の研究では、中心体複製の開始段階における分子の働きを、世界に先駆けて明らかにすることができました。そしてその解析を基に、余分な中心体の複製を防ぐ制御機構を、理論的にモデル化しました。

 中心体は柱状の部品(中心小体)2個から構成されています。細胞分裂時には、この2個が母中心小体となり、それぞれに娘中心小体を1個作ります。この際の顕微鏡写真を解析したところ、娘中心小体の形成前にはまず、母中心小体の周囲に中心小体形成促進因子が多数集まること、そのうちの1箇所だけに娘中心小体が形成され、他の分子は壊されてしまうことが明らかになりました(図)。娘中心小体の形成が1箇所に限定されることが、中心体の複製を1コピーに限定する、というモデルが得られたのです。

 今後は、中心体複製に関与する分子の量的関係性などからこのモデルを実証する計画です。中心体複製の数の異常は、がんや遺伝病、男性不妊に関係し、これらの成果は治療や医薬品開発に役立つと期待されます。2014

Figure1

娘中心小体の形成が1個に限定されるモデル


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