真核細胞の染色体DNA複製開始に不可欠なSld3/Treslin領域の立体構造を解明

超分子構造研究室・白木原研究室 微生物遺伝研究部門・荒木研究室

Crystal structure of the homology domain of the eukaryotic DNA replication proteins Sld3/Treslin

Hiroshi Itou, Sachiko Muramatsu, Yasuo Shirakihara, and Hiroyuki Araki Structure Published: August 7, 2014 DOI:10.1016/j.str.2014.07.001

染色体のDNAは、細胞周期の適切な時期に一度だけ過不足なく正確に倍加(複製)します。それは、DNAを複製する際に必要なDNAヘリカーゼの形成が調節されているためです。DNAヘリカーゼは2本鎖DNAを1本鎖にほどく酵素で、ほどかれた1本鎖DNAを鋳型として、初めてDNA合成酵素がDNA鎖の合成を行うことができます。真核生物のDNAヘリカーゼは、Mcm2-7複合体にCdc45とGINSと呼ばれる2つの因子が結合する事で形成されます。酵母のSld3は、Cdc45やGINSと結合し、ヘリカーゼ複合体形成の仲立ちをするタンパク質で、ヒトなどの高等真核生物では同じ働きを持つTreslinタンパク質が知られています。 今回の研究では、出芽酵母のSld3を用いて、Sld3とTreslinに共通して保存された領域がCdc45との結合領域である事を示し、更にその立体構造を明らにしました。この領域は結合相手であるCdc45との結合に適した形をしていて、自由に動く塩基性の領域が結合に重要である事が分かりました。 ヘリカーゼの形成には、Cdc45とSld3/Treslinタンパク質の結合が重要である事がこれまで知られていましたが、そのメカニズムは不明でした。本研究からSld3がCdc45と結合する領域の立体構造が明らかになり、Sld3とCdc45の結合を原子のレベルで考えられる様になりました。今後、この構造に基づく研究により、真核生物の染色体DNA複製開始の詳細なメカニズムの理解が更に進むことが期待されます。

Figure1

(A) 細胞周期に連動してリン酸化されたMcm2-7複合体に、Cdc45と結合したSld3が結合する。このSld3との結合を介して更にGINSが結合し、ヘリカーゼが形成される。 (B) 今回明らかとなったSld3とTreslinに保存された領域の立体構造と、その立体構造から考えられるCdc45との結合モデル。


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