2013/08/09

血流により誘導されるマイクロRNAが心臓弁形成を制御する

初期発生研究部門・川上研究室

Haemodynamically dependent valvulogenesis of zebrafish heart is mediated by flow-dependent expression of miR-21
Toshihiro Banjo,Janin Grajcarek,Daisuke Yoshino,Hideto Osada,Kota Y. Miyasaka,Yasuyuki S. Kida,Yosuke Ueki,Kazuaki Nagayama,Koichi Kawakami,Takeo Matsumoto,Masaaki Sato & Toshihiko Ogura
Nature Communications 4,Article number:1978,2013 doi:10.1038/ncomms2978

心拍や血流は、正常な心臓形成のために重要なはたらきをしています。発生過程において、心拍を停める、あるいは血流を攪乱すると心臓形成に異常を生じます。今回私たちはモデル脊椎動物ゼブラフィッシュを用いて研究を行い、マイクロRNAのひとつ、miR-21が血流依存的に心臓内皮に発現していることを見出しました。さらに、miR-21の機能を阻害すると心臓の弁形成が正常に行なわれないこと、miR-21の新しいターゲットのひとつがSprouty2であることを明らかにし、miR-21は、MAPキナーゼカスケードの阻害活性をもつSprouty2の発現を抑制することにより、正常な心臓弁形成に重要な役割を果たしている、というモデルを提唱しました。

本研究は、東北大学加齢医学研究所・小椋博士との共同研究として行なわれました。

A:ゼブラフィッシュ野生型胚における正常な心臓弁形成。
B:miR-21の機能が阻害されたゼブラフィッシュ胚における異常な心臓弁形成。


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