2013/07/12

サンゴ礁の白化現象の原因の解明に向け一歩前進

Press Release

Draft assembly of the Symbiodinium minutum nuclear genome reveals dinoflagellate gene structure
Eiichi Shoguchi, Chuya Shinzato, Takeshi Kawashima, Fuki Gyoja, Sutada Mungpakdee, Ryo Koyanagi, Takeshi Takeuchi, Kanako Hisata, Makiko Tanaka, Mayuki Fujiwara, Mayuko Hamada, Azadeh Seidi, Manabu Fujie, Takeshi Usami, Hiroki Goto, Shinichi Yamasaki, Nana Arakaki, Yutaka Suzuki, Sumio Sugano, Atsushi Toyoda, Yoko Kuroki, Asao Fujiyama, Mónica Medina, Mary Alice Coffroth, Debashish Bhattacharya, and Nori Satoh
Current Biology, 11 July 2013 DOI:10.1016/j.cub.2013.05.062

プレスリリース資料
(OIST 沖縄科学技術大学院大学ニュースセンター「サンゴ共生カッチュウソウのゲノム解読」)

サンゴは、クラゲやイソギンチャクの仲間であるサンゴ虫といわれる生き物が本体です。サンゴは環境の変化などにより白化現象が発生しますが、これはサンゴの細胞の中に共生するカッチュウソウが減少することが原因です。サンゴは、カッチュウソウの光合成に頼ってエネルギーを補給しているので、カッチュウソウが失われるとサンゴは白化し、死滅するといわれています。しかし、なぜカッチュウソウが失われていくのか、詳しいことは不明でした。

今回、国立遺伝学研究所(大学共同利用機関 情報・システム研究機構)は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)、独立行政法人理化学研究所、東京大学大学院新領域創成科学研究科と共同研究にて、カッチュウソウの全遺伝子解析(ゲノム解析)を行いました。ゲノムとは、ある生物の全遺伝情報のことで、ゲノム解読は生物の設計図を手に入れたといっても過言ではありません。2003年のヒトゲノム解読により、その後のヒト遺伝子研究が飛躍的に進んだことと同様、今後、サンゴとカッチュウソウがどのように共生し、温度変化や海水汚染などにより、どのようにサンゴの白化が引きおこされるか、解明できることが期待されます。

今回、ゲノムの解読は、三島市にある国立遺伝学研究所(遺伝研)にて行われました。すでに遺伝研では、サンゴ、シーラカンス、イネなどのゲノム解読の功績があり、今後とも生物のゲノム解析に大きな貢献が期待できます。

本研究成果は、文部科学省科学研究費新学術領域研究「ゲノム支援」(代表 小原雄治)の支援を得ました。

サンゴとカッチュウソウの共生関係


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