
若くして国立遺伝学研究所助教授のポストを得た一色助教授。一番の関心事は「リラックスすること」。研究室の主は、親しみやすい雰囲気の中に鋭い洞察力が光る。
「高校生になって、DNAと遺伝の話を生物の授業で聞いたんです。とにかくそれまで学んできた全てのことの中で一番好きだと思いましたね。遺伝法則は話がきれいだと思ったんですよ」。これをきっかけに、大学では生物系で遺伝学ができるところにいこうと一色助教授は決めたのだ。
ショウジョウバエに熟知した一色助教授だが、大学院までは酵母を用いた研究を行っていた。留学して研究内容を変えた当時は結果がでなかったという。「研究成果がでるまでは、どうしようという感じなんです。でも、移った先の研究室ですぐにある程度の成果がでたとしても、その多くの場合は研究室のその時の流れにうまく乗れただけ。どんな成果も周囲のサポートなくしては得られませんが、より自分のものという形で成果を出すにはもっと時間がかかって当然ですよね」。
研究者としての王道を着実に歩んでいるかのように見える一色助教授。だが、その言葉は意外なものだった。