北川 大樹 特任准教授(きたがわ だいじゅ)

中心体生物学研究室 北川研究室
1978年生まれ 東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了、同大学院博士研究員、スイス連邦工科大学 スイス実験癌研究所 日本学術振興会海外特別研究員、EMBO fellow、博士研究員。2011年より現職。 趣味/サッカー、ヨーロッパの史跡めぐり

生物学に残された謎~中心体が自己複製するしくみとは?

細胞内小器官のひとつ「中心体」。細胞内に広がる微小管の起点であり、細胞分裂のときには2つに複製されて紡錘体を形成し、染色体を引っ張って分けるものとして知られている。中心体の内部にある「中心小体」は、2つの円筒状の構造体が90度で組合わさった特殊な形をしている。この複雑な構造体がどのように複製されるのかはよくわかっていない。「細胞生物学の最大の謎のひとつ」と言われる中心体複製機構の解明に、北川研究室は挑戦している。

中心体は生物学の最大の謎のひとつ
「この研究室は『中心体生物学研究室』って言うんですけど、日本で中心体を研究室の名前に入れてるところってないですね。調べた限りでは。」
北川特任准教授はこう切り出した。欧米では盛んに研究されているが、日本ではマイナーな中心体。なぜそれを研究対象にしたのだろうか?
「中心体の一番面白い点は、どうやって複製するか?っていうところです。DNAが倍化するのはよく知られてますよね。中心体もDNAを分けるときの分裂装置のかなりキーな細胞小器官です。これもちゃんと複製されないと染色体分配や細胞分裂がうまく行かない。でも中心体がどうやって複製されるのかは全く分かってない。そしてもうひとつは、由来がわからないということ。」
中心体の存在は一世紀以上前に確認されている。1970年代にマーギュリスが提唱した「細胞内共生説」では、ミトコンドリア、葉緑体、中心体の由来は別の生物からとされた。ミトコンドリアと葉緑体はその説が正しいとされているが、中心体は、スピロヘータや運動性バクテリアなど由来は諸説あり、いまだにどこから来たのかはわかっていない。
「全体的には、共生説は否定的になってるんですけど、中心小体はかなり複雑な構造をしていて、こういう構造が細胞の中で徐々に進化して獲得されたというのは説明しにくいんですよね。いろんな生物で、中心小体を持ってるやつと持ってないやつを分類したときに、あるときポンと出てくる印象がある。だからあながち共生説も嘘じゃないんじゃないかと。」
中心体の由来や複製は、細胞生物学の最大の謎のひとつと言われている。 「なぜかみんなそう言ってます。(笑)まあ僕もそう思いますけど」
研究内容紹介「生物学に残された謎 中心体が自己複製するしくみとは?」
こんな興奮を得られる仕事は研究者しかない!
小さいときはサッカー選手になりたかったという北川特任准教授。研究者になると決めたのは、大学院で研究が面白くなってからだという。
「とりあえず感動したいんですよね!(笑)それは別に研究者じゃなくてもいいですよ。他に感動できる職種があればそこに移るんですけど、今は研究が面白くて、これくらい感動が味わえる職種が他に思い浮かばない。アドレナリンがたくさん出て 「ウオーッ!」みたいになる。そんな興奮を得られるのは研究者しかない。他の職種だと思い浮かばないですね。サッカー選手くらいかな?毎日あるわけじゃないんですけどね。2、3年に一回ぐらいそういう瞬間が訪れて。」
最後に、学生へのメッセージを聞いた。
「僕はいっしょに切磋琢磨したい。学生は知識は無くても、無いからこそのオリジナリティとか、論理的に突けるポイントとか、創造性とかがあるので、そういうところはすごい期待してます。基本的には研究が好きな人、自分で考えるのが好きな人に来て欲しいですね。」
(田村佳子 インタビュー/高橋健太 動画作成 2011年)

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