植物における木部細胞の分化を試験管内で再現する

小田研究室・細胞制御研究室※小田教授は2022年4月に名古屋大学に異動

植物個体を構成する細胞の多様性は、「細胞壁」が作り出すといっても過言ではありません。したがって細胞壁の成分や沈着パターン、厚みを知れば、植物の細胞分化の大筋を理解したに等しいと言えます。

細胞壁が織りなす最も精緻な構造体は道管などの木部組織です。ゆえに木部組織は、細胞壁による細胞分化制御を知る格好の材料となりますが、残念なことに植物の体の奥深くにあるため、分子生物学的な解析が困難でした。

この問題を小田准教授らのグループは「細胞壁のパターン形成を試験管内で再現」することで解決しました。この技術は、シロイヌナズナの木部細胞の培養方法を確立することによって、細胞壁の形を支える「表層微小管」のパターン形成を試験管内で長時間観察できるようにしたものです。この細胞培養技術によって、微小管が広がっていく様子や広がった微小管に沿って二次細胞壁が沈着していく様子を動的に観察できるようになりました。

植物の木部細胞の分化誘導系が確立したことにより、様々な分化状態の均一な細胞集団が取得しやすくなりました。また、培養細胞は自家蛍光が少ないので蛍光顕微鏡観察の対象として優れ、細胞株によってはアグロバクテリウム法による遺伝子導入が可能です。

植物における、植物の体つくり、細胞分化をはじめとする様々な生命現象の解明に、木部細胞の培養技術が貢献することが期待できます。

本技術は以下の研究成果の基盤のひとつになっています
ソルガムにおける乾汁性決定遺伝子の発見~糖やエタノールの生産性向上に関わる100年来の謎を解明~

植物における木部細胞の分化誘導系
(左)シロイヌナズナ培養細胞
(右)分化誘導後の蛍光顕微鏡像。赤いシグナルは蛍光色素で染色した二次細胞壁。

小田研究室・細胞制御研究室

植物個体を構成する細胞の多様性は、「細胞壁」が作り出すといっても過言ではありません。したがって細胞壁の成分や沈着パターン、厚みを知れば、植物の細胞分化の大筋を理解したに等しいと言えます。

細胞壁が織りなす最も精緻な構造体は道管などの木部組織です。ゆえに木部組織は、細胞壁による細胞分化制御を知る格好の材料となりますが、残念なことに植物の体の奥深くにあるため、分子生物学的な解析が困難でした。

この問題に小田准教授らのグループは「細胞壁のパターン形成を試験管内で再現」することで解決しました。この技術は、シロイヌナズナの木部細胞の培養方法を確立することによって、細胞壁の形を支える「表層微小管」のパターン形成を試験管内で長時間観察できるようにしたものです。この細胞培養技術によって、微小管が広がっていく様子や広がった微小管に沿って二次細胞壁が沈着していく様子を動的に観察できるようになりました。

植物の木部細胞の分化誘導系が確立したことにより、様々な分化状態の均一な細胞集団が取得しやすくなりました。また、培養細胞は自家蛍光が少ないので蛍光顕微鏡観察の対象として優れ、細胞株によってはアグロバクテリウム法による遺伝子導入が可能です。

植物における、植物の体つくり、細胞分化をはじめとする様々な生命現象の解明に、木部細胞の培養技術が貢献することが期待できます。

本技術は以下の研究成果の基盤のひとつになっています

  • ソルガムにおける乾汁性決定遺伝子の発見~糖やエタノールの生産性向上に関わる100年来の謎を解明~
  • 植物における木部細胞の分化誘導系
    (左)シロイヌナズナ培養細胞
    (右)分化誘導後の蛍光顕微鏡像。赤いシグナルは蛍光色素で染色した二次細胞壁。


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