マウス開発研究室 小出研究室 上田 奈央子 さん

上田 奈央子
小出研ではどのような研究をしていますか?
マウスにおける自発活動性に関する遺伝子の解析を行っています。これまでの小出研の研究により、いくつかの候補遺伝子が見つかっています。現在、私はそれらの遺伝子のノックアウトマウスを使った行動実験をおこない、自発活動に関わる遺伝子の絞り込みをおこなっています。
今後、面白く発展させることができればいいなと思っています。
どうして遺伝研を選んだのですか?
遺伝研を選んだ理由は3つあります。
1点目は、学生が多い大学に比べ、研究者の方が圧倒的に多いという点です。
1年に一度行われる、遺伝研内でのポスタープログレス発表の場で、様々な分野の方々に自分の研究について話し、アドバイスを得られる機会があるのは、以前の大学では考えられないことでした。
私は正式に遺伝研に所属する前に、半年間、特別共同利用研究員(脚注)として遺伝研に滞在していて、
幸運なことに他の学生と混ざってプログレスポスター発表をする機会があったので、入学する前に実際に遺伝研での研究生活を体験できたのも良かったです。
2点目は、研究成果発表時はすべて英語であるという点です。学会で発表するにしても、論文を書くにしても、英語で自分の研究を伝えるということは必須で、それを普段からおこなえるのは、とても魅力的な環境だと思います。
3点目は、学生が少ない分、手厚い援助や指導が受けられる点です。経済的な援助ももちろんありますし、学生1名に対し、指導教員のほかに、プログレス委員という形でたくさんの先生(注:4名)が指導にあたってくれます。
そのため、複数の先生方に研究内容を話し、ディスカッションする機会があります。研究室は閉じた空間になりがちですが、ほかの研究室の先生方が研究テーマだけでなく研究室について話を聞いてくれる場があることで、
自分の研究テーマをより深めることができますし、研究室内でのトラブルを一人で抱え込まずにいられる環境になっていると思います。学生が少ない分、大学のような学生同士の大人数での関りがなく、寂しい時もありますが、自分が研究者として成長するには良い環境なのではないかと感じています。
学生生活はどうですか?
同時期に入学した同じ研究室の学生が留学生で、さらに今は留学生2人と一緒に暮らしているので、普段、研究室にいるときも英語を話しますし、週末の時間があるときはよく留学生の友達と過ごしています。
もともと英語が好きで上達したいと思っていたので、普段から英語が話せる環境があるのはとてもありがたく感じています。
インド人の友達に本場のインド料理をふるまってもらったり、パキスタン人の友達に宗教について教えてもらったり、逆に日本語を教えたり、ジブリのアニメを見たりと、外国の文化に触れる機会と日本の文化を教える機会がとても増えました。
留学生に「なんで日本人は〇〇なの?」と聞かれて、今まで気づかなかった日本人の特徴に気づかされることも多いです。大学の研究室は留学生が少ないと思うので、日本にいながら英語を話す環境がある遺伝研は、海外を目指す学生の方にとっても、良い環境ではないかと思います。
後輩へのアドバイスは?
長期間、同じ研究室で研究を続けることになるので、気になる研究室があったら、直接、見に行って、その研究室で数日間でも過ごしてみたほうがいいと思います。
先生の方針によって研究室の雰囲気もかなり異なると思うので・・・。そして、これやってみたいな!と思ったときは、ぜひ行動してみてください。私は、博士の途中で思い立って総研大に入りなおす形で研究室を変えました。
思い立った当時は「半年みんなより遅れるからいやだなあ」とか「不安だなあ」とか悩んだりもしていました。もちろんそれなりに苦労はありましたが、ここを選んでよかったと思える環境で研究できていて、あの時、思い立って小出先生に会いに行ってよかったと思っています。
入試の思い出は?
遺伝研の入試は論理的な思考を問うような問題で、過去問を初めて見たときは戸惑いましたが、考えるのは面白かったです。入試形式からも、「遺伝研は研究者を育てるための場所なんだなあ」と思ったのを今でも覚えています。
実際の入試では、面接がとても印象に残っていて、終わった瞬間「落ちた。」と思いました(笑)。私は正式に入学する前に半年間、特別共同利用研究員として遺伝研に滞在していたので、面接についていろんな先輩方から聞く機会があったのですが、
基本的に「たくさん先生がいるから圧倒されるけど、アットホームな感じで大丈夫だよ~」という答えが多かったので、そうだろうと思って入試に挑んだのですが、全く違いました(笑)。質問の嵐で緊張感しかありませんでした(笑)。
でも、あんなにたくさんの先生方が自分の過去の研究の話を聞いてくれて、質問をしてくれる機会なんて、滅多にないことなので、いま振り返るととても贅沢な時間だったですし、経験してよかったなと思っています。
三島の暮らしはいかがですか?/三島のおすすめスポットはありますか?
とても田舎です(笑)。遺伝研が坂の上にあるので、普段の食料品などの買い物が不便ですね。近くに飲食店も少ないので、基本的に毎日、自炊しています。
遺伝研内の宿舎に住んでいるのもあって、平日は遺伝研から一歩も出ない日のほうが多くなってしまっているので、時間があるときはできるだけ外出するよう心がけています。
広小路(注:三島の中心街)に行くとたくさん飲食店やカフェがあるので、週末に気になるお店にご飯を食べに行くのは楽しいですね。
「遺伝研で研究してみたいな」と思う学生の方には、生活環境も知るという意味でも、ぜひ入学前に体験入学や特別共同利用研究員として遺伝研で暮らしてみてほしいですね。
脚注)特別共同利用研究員とは、他機関に所属する大学院生を特別共同利用研究員として受け入れ、遺伝研の教員が研究指導を行う制度です。
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