育種遺伝研究部門 角谷研究室 齋藤 絡 さん

齋藤 絡
角谷研ではどのような研究をしていますか?
VANDAL属と呼ばれるトランスポゾンについて研究しています。
トランスポゾンというのは、私たち生物のゲノムに潜んでいるDNAのことで、ウイルスのように自己増殖をたくらむ寄生配列です。
勝手に自己複製して増えるのですが、そうなると私たちのゲノムの遺伝子は壊れたりして危険です。
そのため普通はDNAメチル化という機構で、トランスポゾンは増えないように抑制されています。
しかしVANDALは、自分のDNAメチル化を取り除いて、抑制を解除して増えることができます。
こういうことをするトランスポゾンはVANDALしか確認されていないので、興味を持って研究をしています。
なぜその研究をやろうと思ったのですか?
VANDALについては、当時研究をしている人が誰もいなかったからです。
もともと農学部でウイルスの研究をしていましたが、農業上重要なためか、そのウイルスの研究者は世界中にたくさんいて、それが結構気がかりでした。
その点で、VANDALは研究を比較的自由にできます。まあ現実には、そう上手くはいってないですが。
遺伝研を知ったきっかけは?
昔から生き物が好きなので、小学校くらいの頃には、生物学の分野で博士号を取ろうと決めていました。
そのために良いところはどこかなと思い、学部3年のときに各地の大学院の研究室を見て回っていました。
そのとき大学の研究室の先輩に、遺伝研の存在を教えてもらいました。
どうして遺伝研を選んだのですか?
大学3年次に遺伝研の体験入学に参加したのですが、実際に来てみて、ラボ間の敷居がとても低いことや、外部研究者のセミナーが頻繁に開催されていることを知りました。
生物学に興味がある人なら、ここはとてもexcitingな場所だと思います。
気軽に別のラボの人に話を聞きに行ったりできますし、セミナーも時間が空いたら簡単に聴きに行けて、その多くが面白いです。
要は、生物学を楽しんでいる人が多いと感じたから遺伝研に来た、ということです。
三島の暮らしはいかがですか?
僕は東京と札幌にしか住んだことがないので、田舎だなあと感じます。遺伝研の周囲には娯楽施設は何もありません。
ただ、自分は都会的な娯楽にそれほど興味がないので、特に苦労はしていません。
むしろ、登山や昆虫採集など、田舎であることを満喫させてもらっています。
入試の思い出は?
試験の準備はしっかりやったほうが良いと思います。僕みたいに何の準備もしないで行くと、当日の面接で赤っ恥をかきます。
未だになんで受かったのかはわかりません。
ということで僕のアドバイスが役に立つかは怪しいですが、少なくとも過去問は全て解いたほうが良いと思います。
過去問を見ればわかりますが、難易度が年によって大きく違います。
本番で難しい問題に当たってしまうこともあると思いますが、そういうのはどうせ皆解けないので、きっぱり諦めて、解ける問題に取り組むことが大事かなと思います。
それと、1日目の問題が終わっても、2日目の面接までは問題についてしっかり考えることも大事です。結局、どれだけ「考えること」をするかを見る試験だと思うので。
後輩へのアドバイスは?
もし博士号取得を目指しているなら、早いうちからいろんな大学院を見て回ると良いと思います。
興味のあるラボがあったら、直接行って話してください。実際に目で見ないとわからないことがたくさんあります。
分野への興味だけで決めるのではなく、その分野を研究することで他分野のことも学べそうか、ラボの人とはうまくやれそうか、
私生活で何か問題が生じた時になんとかなりそうな環境か、周辺の住環境はどうかとか。
自分の目で確かめて、よく考えて行くべき場所を決めてください。
遺伝研みたいに交通費支給ありの体験入学をやっているところは、興味のあるラボがあったら積極的に利用すべきと思います。
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