細胞遺伝研究部門 小林研究室 鵜之沢 英理さん

鵜之沢 英理
研究内容は?
ラボでは、「リボソームRNA遺伝子(rDNA)」を扱っています。これは ゲノムの中ですごく不安定なところです。生き物が世代交代するとき、ゲノムを正確に受け継がないといけません。コピーに失敗すると、がんとか早期の老化につながってしまいます。ゲノムをどういうふうに安定的に維持するのか?そのしくみが知りたいのです。ゲノムの安定性に関係する遺伝子がいくつか見つかっていて、その中から私は、染色体の端にあるテロメアが短くなってしまう原因となる遺伝子の機能について研究しています。なので、rDNAとテロメアのつながりも考えながら研究を進めています。
研究の面白さ
生き物の研究では、自分が考えていたことと全然違うことが起こるのが面白いですね。変異株の示す表現型やその生育状態に注意しないと、実験がうまくいかなかったり、全く関係ない現象をみることになってしまいます。同じ変異株でもバックグラウンドごとに表現型が若干違うんです。生き物を扱うことの難しさを感じつつ、どんな結果が出るのかわくわくしながら実験しています。
研究者をめざしたきっかけは?
高校の生物の時間に初めて英語の論文を読みました。それはDNAの二重らせん構造を初めて明らかにしたワトソンとクリックのもの。短い文章なんですけど、すごく簡潔に見つけたことを書いていて「すごいな!」と。それでこういう道もいいなと思いました。生物の「遺伝」の単元がとくに好きで、そこだけは一生懸命勉強していました。
いつ遺伝研を知ったのですか?
大学2年生のとき、サークルの先輩から「こういうところもあるよ」と総研大や遺伝研のことを教えてもらいました。博士を取ると決めていたので、5年一貫制にも魅力を感じたし、プロフェッショナルの研究者のなかで、学べることがたくさんあるんじゃないかと思いました。入るのに不安はありました。学生があまりいない、大人の世界に入るのはちょっと怖いなと思っていましたが、日々学ぶことばかりで刺激があります。なんでも教えてもらえるので、本当にありがたいです。
大学院説明会のバスツアーに参加したことがあるそうですね?
遺伝研のホームページはちょくちょく見ていたので、バスツアーはそこで知りました。参加してみると、思ったよりたくさんの参加者に驚きました。バスの中で自己紹介があって、大学も学年もバックグラウンドもいろいろでした。いろんな人の話が聞けてすごくよかったです。研究所を見学して感じたのは、とても広いということ。自分の大学にはない実験機器がたくさんあって、研究所はすごいなと思いました。このとき初めて今の研究室を見学し、後日また訪問してじっくり話を聞きました。
ここに決めた理由は?
最終的には、今のボスの研究内容が自分のやりたいことに合っていたからです。研究環境がいいこと、指導してくれる人が多いこともあります。
三島での学生生活はいかがですか?
クラブはバドミントン部に入っています。最近行けてないんですけど、行くといい運動になりますし色々な人と知り合えるので楽しいです。私は以前、寒いところに住んでいたので三島はあったかくて快適です。東海道の宿場町の面影もあり、国道沿いはお店もたくさんあるし、生活しやすいいいところです。
メッセージ
私は先輩のアドバイスで「研究所で学位を取ることもできる。そういう道もあるんだ!」ということを知ることができました。いろんな人と知り合いになって、将来の可能性を広げられるといいと思います。もし私が大学の大学院に行っていたら、博士を取るのはあきらめていたかもしれません。そこでは、マスターを取って就職する人ばかりで、博士課程に残るのは学年に0か1人でしたから。ここは5年一貫制なので、目標がぶれない。卒業後は、研究所か企業かは決めていませんが、研究に携わる仕事に就きたいと思っています。
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