マウス開発研究室 小出研究室 田邉 彰さん

田邉 彰
研究内容
野生マウスのいきいきした行動のもとになる遺伝子は何かを調べています。野生マウスと実験用マウスは、例えればオオカミとイヌのように行動が違います。その違いを生み出している遺伝子を突き止めたいのです。具体的な方法は、野生マウスと実験用マウスを交配させて、40本の染色体のうち、野生マウス由来の染色体を1本だけ持つものをつくり、実験用マウスと比較するようなことをやっています。比較して行動の違いがあれば、その行動を生み出す遺伝子は1本だけ違う染色体にあると考えられます。行動の違いは「不安様行動」というものを見ます。初めて経験する場所にマウスを入れると、怖がって探索したり、ちぢこまったり、立ち上がって周りを見たりという行動をとります。そうした動きをカメラで記録し、どんな行動をどのような頻度や時間で行ったか、コンピュータで計測、解析しています。その解析ソフトは自分で作りました。
研究のきっかけ
大学ではコンピュータサイエンスをやっていたんです。でも将来を考えると、ずっと机に向かってキーボードをたたいているのは続けられないと思いました。そこで、もともと動物が好きだったので、動物を扱う研究をやりたいと考えました。実験用マウスは誰もが扱っているので面白みがなく、野生マウスに興味を持ちました。
大学院を選ぶときに
大学院へ進もうと思ったときに、自分の大学の大学院は嫌だなと。たくさんの選択肢があるのだから、わざわざ同じ所でなくてもいいと思い、自分のやりたいことができるところをいろいろ調べました。科研費を取れているところなど、いくつかリストアップして、研究室のボスにメールを送り、アポを取り、研究室訪問旅行に行きました。奈良先端科学技術大学院大学、国立遺伝学研究所、筑波大学などです。探すときには、大学院大学を中心に探しました。大学にある大学院だと、研究の道に進む気がない学部生なんかも出入りするので、そういうのはわずらわしい。大学院大学なら、外から人が集まってくる。つまりやる気のある人ばかり。やる気のあるもの同士、盛り上がれそうだと思いました。その選択は大正解でした。ここでは本当に、研究を好きなだけできます。ただ予想よりも学生の数が少なかったですが・・・(笑)
遺伝研に決める後押しとなったのは、大学院のシステムです。学生が少ない、だから指導はしっかりしてくれるということ。生活支援制度(リサーチアシスタントによる経済支援)があるのも大きかったです。
試験について
試験は2回落ちて、3回目に受かりました。非常勤の研究員として働きながら受けました。 英語は大変でしたが、論述試験は当たり前のことをしっかりやれば大丈夫です。ただ、発表の準備はしっかりとやるべきです。これがダメならダメです。いつも思うのは、自分の研究について、どういう立場の研究で、どういう意味があるのか、ということをしっかりとした理論で表現できることが重要です。
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