キンギョのシングルセル遺伝子発現解析で進化の謎に迫る
-全ゲノム重複後の遺伝子発現パターンの進化をシングルセルレベルで解析-

Press Release



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写真提供:長浜バイオ大学の大森義裕教授

Single-cell transcriptomics of the goldfish retina reveals genetic divergence in the asymmetrically evolved subgenomes after allotetraploidization

Tetsuo Kon, Kentaro Fukuta, Zelin Chen, Koto Kon-Nanjo, Kota Suzuki, Masakazu Ishikawa, Hikari Tanaka, Shawn M. Burgess, Hideki Noguchi, Atsushi Toyoda, Yoshihiro Omori

Communications Biology (2022) 5, 1404 DOI:10.1038/s42003-022-04351-3

プレスリリース資料

長浜バイオ大学の大森義裕教授・今鉄男特任助教(現在:ウィーン大学シニアリサーチフェロー)の研究グループは、国立遺伝学研究所(豊田敦特任教授)、データサイエンス共同利用基盤施設(野口英樹特任教授、福多賢太郎研究員)、愛知県水産試験場弥富指導所、ウィーン大学および米国国立衛生研究所(NIH)と共同でフナを原種とするキンギョの眼球の網膜組織から約2万3千個の細胞を分離し、それぞれの細胞に発現する数万個の遺伝子発現など(シングルセルRNA-seq解析とシングルセルATAC-seq解析)を測定することに成功しました。キンギョの網膜において、全遺伝子が同時に倍加する進化上まれな現象である全ゲノム重複によって倍加した遺伝子のうち、306ペアの遺伝子対の発現が進化し新たな発現パターンを獲得したことを明らかにしました。これは全ゲノム重複後の1400万年という比較的短い時間に細胞レベルで遺伝子の発現パターンの進化が起こることを具体的に示した世界初の報告となります。また、全ゲノム重複後に重複した遺伝子対の発現が重複前の片方のゲノムに偏っているという「非対称サブゲノム進化」がシングルセルレベルで進行していることが証明されました。これらの発見は、現在も謎の多い全ゲノム重複という現象の全体像の解明に向けた重要な一歩となります。また、キンギョをモデルとしたヒトの網膜関連疾患の研究に繋がると期待されます。

本研究成果は、2022年12月26日(月)19:00(日本時間)に国際科学誌「Communications Biology」(オンライン)に掲載されました。

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