生薬「甘草」の染色体スケールのゲノム解読に成功
ー薬効成分を作る遺伝子クラスターを解明ー

Press Release



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写真提供:北海道医療大学の高上馬希重氏

Chromosome-scale genome assembly of Glycyrrhiza uralensis revealed metabolic gene cluster centered specialized metabolites biosynthesis

Amit Rai, Hideki Hirakawa, Megha Rai, Yohei Shimizu, Kenta Shirasawa, Shinji Kikuchi, Hikaru Seki, Mami Yamazaki, Atsushi Toyoda, Sachiko Isobe, Toshiya Muranaka, Kazuki Saito

DNA Research DNA Research (2022) 29, 1–14 DOI:10.1093/dnares/dsac043

プレスリリース資料

理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター統合メタボロミクス研究グループのアミット・ライ研究員、斉藤和季グループディレクター、かずさDNA研究所の平川英樹主任研究員、千葉大学大学院薬学研究院の山崎真巳教授、大阪大学大学院工学研究科の村中俊哉教授、国立遺伝学研究所の豊田敦特任教授らの共同研究グループは、漢方薬や天然甘味料の原料として使われる重要生薬の甘草(カンゾウ)の染色体スケールの高品質ゲノム配列を解読しました。

本研究成果は、今後、バイオテクノロジーを用いた甘草の品種改良や薬効成分の生産向上に役立つと期待できます。

甘草は、さまざまな漢方薬に最も頻繁に配合されるマメ科植物を基原とする生薬です。甘草には、抗炎症作用や痛み、咳を鎮める効果をはじめ、多数の薬効があります。また、根に含まれる主要成分のグリチルリチンは医薬品、天然甘味料などの原料として世界的に需要が高まっています。質の高い甘草のゲノム配列を解読できれば、ゲノム情報に基づいた効率的な育種などが可能になると期待されていました。

今回、共同研究グループは最先端のシーケンス技術を駆使して、ウラル甘草[2]の染色体スケールの高品質ゲノム解読に成功しました。そして、グリチルリチンなどの生合成に関わる重要な遺伝子が染色体の狭い領域に局在することを確認しました。

本研究は、日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業基盤研究(S)「薬用資源植物の化学的多様性のゲノム起源(研究代表者:齊藤和季)」による助成を受けて行われました。

本研究は、科学雑誌『DNA Research』のオンライン版(12月20日付)に掲載されました。

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図: 甘草の全ゲノム配列
1(緑)は8本の染色体に割り当てた塩基配列。単位はメガ塩基対で、黒線はギャップの位置を示す。2(青)は繰り返し配列の頻度、3(紫)は信頼性の高い予測遺伝子の分布、4はゲノム内のシンテニーを表す。

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