クロマチンの持つ固体と液体の性質

The solid and liquid states of chromatin.

*Jeffrey C. Hansen, *Kazuhiro Maeshima, *Michael J. Hendzel. (*責任著者)

Epigenetics & Chromatin (2021) 14, 50 DOI:10.1186/s13072-021-00424-5

真核細胞内のクロマチンは、DNA、ヒストンと様々な関連タンパク質からなる、負に帯電した長いポリマーです。クロマチンは強く帯電していて不均一なため、その構造は化学修飾やタンパク質の量などの様々な因子や、陽イオンなどの周囲の環境に応じて、10 nm線維から折りたたまれた30 nm線維、相分離による凝集体・液滴まで大きく変化します。現在、このクロマチンの核内のorganizationと物質状態が活発に研究されています。米国・コロラド州立大学のJeffrey C. Hansen教授、遺伝研・ゲノムダイナミクス研究室の前島一博教授、カナダ・アルバータ大学Michael J. Hendzel教授は共同でEpigenetics & Chromatin誌に包括的な総説論文を執筆しました。総説では、クロマチン相分離の歴史、その決定要因とメカニズムについて詳述しました。また、In vitroおよび核内におけるクロマチンのorganizationにおけるクロマチン自己相互作用の役割の重要性を指摘しています。さらに、ヘテロクロマチンとユークロマチンの成分であるタンパク質の相分離、および核内のクロマチンがナノスケールで液体として、メゾスケールで固体として振る舞うという新たな概念について議論しています。 本総説はEpigenetics & Chromatin誌のハイライト論文として出版されました。

前島教授は日本学術振興会 (JSPS) 及び文部科学省科研費 (20H05936, 21H02453)、武田科学振興財団、上原記念生命科学財団の支援を受けました。

Figure1

図:さまざまなcondensate(凝集体)がさまざまなクロマチンでどのようにorganizeされているかを示す模式図。 オレンジ色の線はクロマチンを表している。 クロマチンはメソスケールでは固体のように見え、ナノスケールでは液体のように振る舞う。これはクロマチンの粘弾性特性と一致している(右上)。 黒い矢印はアクティブな転写開始部位を示し、緑色の波線はRNAを示している。

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