「がん遺伝子」として働くのか?
組換え酵素Rad52が染色体異常を引き起こすことを発見

Press Release

DNA replication machinery prevents Rad52-dependent single-strand annealing that leads to gross chromosomal rearrangements at centromeres

Onaka AT, Su J, Katahira Y, Tang C, Zafar F, Aoki K, Kagawa W, Niki H, Iwasaki H, & Nakagawa T.

Communications Biology (2020) 3:202 DOI:10.1038/s42003-020-0934-0

プレスリリース資料

大阪大学大学院理学研究科の中川拓郎准教授らの研究グループは、東京工業大学科学技術創成研究院の岩崎博史教授、情報・システム研究機構国立遺伝学研究所の仁木宏典教授、明星大学理工学部の香川亘教授との共同研究により、組換え酵素Rad52が反復配列を介した染色体異常を引き起こすことを明らかにしました

これまで、ヒトなどでは相同組換え因子BRCA2やRad51が正常に機能しないと、染色体異常が起こり、細胞がガン化することが知られていた(図)。また、本研究で使用する分裂酵母※7においても、Rad51遺伝子を破壊すると反復配列を「のりしろ」にした染色体異常が高頻度に起ることが知られていた。しかし、実際に、染色体異常が起きる分子メカニズムについては解明されていませんでした。

今回、中川拓郎准教授らの研究グループは、DNAアニーリング活性が低下した変異型酵素を用いることで、組換え酵素Rad52が染色体異常を引き起こすことを明らかにしました(図)。染色体異常の誘導因子を同定したことで、今後、BRCA2などの遺伝子変異により生じる遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)※8の治療薬の開発がより一層進むことが期待されます。

本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金の基盤研究の一環として行われました。

本研究成果は、Springer Nature社のオープンアクセス・ジャーナル「Communications Biology」に4月30日(木)18時(日本時間)に公開されました。

遺伝研の貢献
国立遺伝学研究所のグループでは、変異体のゲノム解析を担当しDNAポリメラーゼαの活性部位に変異が生じて いることを特定しました。これによりRad52タンパク質が複製装置と関連して働いていることが明らかになりました。

Figure1

図: Rad51によるDNA鎖交換を介したDNAの正確な修復(左)とRad52によるDNAアニーリングを介した染色体異常(右)


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