2004/05/01

藤澤敏孝助教授 日本動物学会賞受賞

日本動物学会
発生遺伝研究部門 藤澤研究室
 国立遺伝学研究所・発生遺伝研究部門の藤澤敏孝助教授が、平成16年度日本動物学会賞を受賞した。受賞の対象となった研究は「ヒドラのペプチド性 シグナル分子の組織的解析」で、藤澤助教授はこの研究を「ヒドラペプチドプロジェクト」と名付け、ヒドラから800分子のペプチドを単離し、約400分子 の構造を決定した。そのうち約40分子のペプチド性のシグナル分子の機能を明らかにした。なかでも特に興味深いペプチドとして、9個のアミノ酸からなる Hym-355はヒドラ神経幹細胞分化に係わる新規の上皮由来のペプチド(上皮ペプチド)であることを発見した。また行動を制御する新規の神経ペプチド も、独特のアッセイ系を用いて多数明らかにした。ペプチドに関する網羅的研究は、藤澤助教授の研究以前にはなかったが、この発見の後、高等動物においても 多くの研究者が類似研究を始めている。

受賞に対して藤澤助教授は「 『ヒドラペプチドプロジェクト』 は多くの共同研究者の協力の上に成り立っており、この賞は私個人というよりはチームに与えられたと理解しています」と感想を述べ、今後は 『ヒドラペプチドプロジェクト』 と、ヒドラで発現している数多くの遺伝子を網羅的に明らかにする 『ヒドラESTプロジェクト』 を組み合わせることで、より多くの未知のペプチドを同定し、そのペプチドの受容体を明らかにしたいという。

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