2004/05/01

斎藤成也教授 木原記念財団学術賞を受賞

木原記念横浜生命科学振興財団
集団遺伝研究部門 (斎藤研究室)
 国立遺伝学研究所・集団遺伝研究部門の斎藤成也教授が、第12 回木原記念財団学術賞を受賞した。高等植物の遺伝学と進化学において、世界的な業績を挙げた木原均博士を記念して設立された木原記念横浜生命科学振興財団 から、生命科学の分野で特に優れた独創的な研究を行っている50歳未満の研究者に贈られる賞で、毎年一名が選ばれる。今回斎藤教授の受賞対象となった主な 業績は、分子系統樹構築法の開発研究と生物進化の分子系統学的研究で、なかでも分子系統樹を作成する方法として1987年に斎藤教授が発表し、現在分野を 超えて世界で広く用いられている「近隣結合法 Neighbor-Joining Method 」を発案、開発したことが評価された。

近隣結合法とは、生物が進化してきた道筋を現在知られている材料から復元するための方法のひとつで、その特長は、DNA の塩基配列の違いやタンパク質のアミノ酸配列の違いを定量的に表わす進化距離が正しく推定されていれば、正しい系統樹作成ができるという数理的論理性と計 算時間の早さにある。この方法によって、進化のスピードが系統によって違う場合でも、極めて正確に過去の歴史を復元することができるようになり、膨大な量 のデータを高速に処理することができるようになった。

受賞に対して斎藤教授は、「私淑している木原均先生を記念した財団からの受賞をとても嬉しく思っています」と感想を述べ、今後の研究課題の中で も、今回の受賞に関する内容としては、「系統樹の概念を一般化した「系統ネットワーク」構築の方法の開発のほかに、類人猿ゲノムとヒトゲノムの比較をはじ めとする、比較ゲノム研究をもっと発展させていきたい」と展望を述べた。国立遺伝学研究所の在職者の受賞は、生命情報・DDBJ 研究センターの五條堀孝センター長に次いで二人目。木原博士は元国立遺伝学研究所所長(1955~1969年)でもある。

受賞記念講演会は5月21日(金)14:45から、横浜市立大学木原生物学研究所3階ホールで行われる。

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