生物遺伝資源情報研究室 小原研究室 野口 浩毅さん

一流のプロに囲まれた遺伝研の研究生活

線虫初期胚における母性pos-1 mRNA局在化機構解明に挑む
pos-1遺伝子産物は生殖細胞系譜へと局在化し、生殖細胞の正常な分化に必要です。線虫のごく初期胚では他にも多くの細胞運命決定因子が働いていますが、これらの多くは翻訳または翻訳後の制御によって目的の細胞へ局在化する事が知られています。pos-1遺伝子産物はmRNAの状態で既に局在化する点が特異であり、私はこのpos-1 mRNAがどのように局在化しているのか、そしてその意義は何か明らかにする事を目的として研究をしています。
プロの研究者の中で学ぶ
教員の比率が非常に高く、しかもラボメンバーの殆どがプロの研究者。この事は一般の大学と遺伝研が大きく異なる点の一つです。沢山の「プロ」との議論は、日々の研究はもちろん、研究者としてどのように生きていくか考える上でも、大きな財産となっています。
「失敗」という言葉に逃げない
実験が期待通りの結果を出さなかった時、簡単に「失敗」とあきらめるのではなく、それは本当に失敗なのか、失敗なら何故失敗したのか、丹念に考え検証して問題を解決して行く。基本的な事ですが、遺伝研での研究を通じて自分にはこの作業が十分に行えていなかった事を痛感しました。
負け惜しみになるかもしれませんが、お手本となるプロの研究者が無数にいる遺伝研は、この様な自分の抱える問題を見つめ修正していく上でも理想的な環境だと思います。
発生現象を読み解く仕事をしていきたい
小さい頃から昆虫の累代飼育を行っていたせいか、私は発生のメカニズムに強く惹かれています。単純な卵が極めて複雑な成体へと変化していく様は、何度見ても驚嘆させられ、飽きる事がありません。現在、各種の網羅的解析が進み、発生現象に関わるデータもかつて無い勢いで集まりつつあります。この多くのデータを活かし、発生制御の本体に近づいて行く事を目標として研究を続けて行きたいと考えています。