人類遺伝研究部門の細道一善助教が2013年11月20日から23日まで江陽グランドホテル(宮城県仙台市)で行われた日本人類遺伝学会第58回大会において大会最優秀ポスター賞を受賞しました。
分子遺伝研究部門・深川研究室
The centromeric nucleosome-like CENP–T–W–S–X complex induces positive supercoils into DNA
Kozo Takeuchi, Tatsuya Nishino, Kouta Mayanagi, Naoki Horikoshi,, Akihisa Osakabe, Hiroaki Tachiwana, Tetsuya Hori, Hitoshi Kurumizaka and Tatsuo Fukagawa
Nucleic Acids Research, (2013), doi:10.1093/nar/gkt1124
染色体の分配に必須なセントロメア領域は、DNA配列によってその場所が規定されるのではなく、エピジェネティックな情報により規定されると考えられています。セントロメアに特異的なヒストンバリアントであるCENP-Aは、その中心的な役割を果たすと考えられていますが、分子遺伝研究部門では、CENP-T-W-S-Xという新規の複合体もセントロメア形成に重要な働きを担うことを報告しています (Nishino et al., Cell, 2012)。今回、大学院生および特任研究員として分子遺伝研究部門に所属していた竹内康造らは、CENP-T-W-S-XがDNAに正の超らせんを導入することを発見しました。通常のヌクレオソームを構成するヒストン8量体は、DNAへ負の超らせんを導入することが知られているので、CENP-T-W-S-XがDNAに結合する際に導入されるユニークな構造的な性質は、セントロメアに特異的なエピジェネティック情報を与えていると予想されます。竹内らは、正の超らせん構造の導入に関わるCENP-TやCENP-W内のアミノ酸部位も特定しており、今回の発見は、セントロメアのクロマチン構造の理解を前進させる重要な発見と言えます。
正と負の超らせんを区別する実験系(上)。負の超らせんは、クロロキンの存在下で早く流れるのでその特性をいかしている。下は、ヒストン8量体とCENP-T-W-S-Xの実験データ。CENP-T-W-S-XはDNAへ正の超らせんを導入している。
集団遺伝研究部門斎藤研究室に所属する、総研大遺伝学専攻博士課程の大学院生、神澤秀明さんが、2013年11月1日から4日まで国立科学博物 館で行われた第67回日本人類学会大会にて、「古代日本列島人の核ゲノム解析」というタイトルで発表を行い、学生の部で若手会員大会発表賞を受賞しまし た。