育種遺伝研究部門 角谷研究室 佐々木 卓さん

きっかけは大学院説明会
総研大で研究をしたいと思うようになったのは修士一年の終わり頃だったと思います。DNAのメチル化やヒストンの修飾など、DNAの配列以外の情報による遺伝子発現やゲノムの制御に興味があり、エピジェネティクスの研究をしたいという気持ちがありました。遺伝研で行われた大学院説明会に参加し、エピジェネティクスの研究をやるならここだ!という天啓にも似たものを信じて、総研大の角谷研究室を受験しました。
総研大/国立遺伝学研究所での3年間
総研大では自由に研究ができました。角谷研での研究テーマは、シロイヌナズナのddm1変異体での局所的DNA高メチル化機構についてでした。ddm1変異体は、DNAのメチル化がゲノム全体で低下する変異体ですが、BONSAIと呼ばれる遺伝子座では、反対に高メチル化が誘導されることが示されていました。このDNAメチル化の誘導には、これまでに知られていたsmall RNAによるDNAメチル化機構ではなく、ヒストンの修飾を介した別の経路が関わっていることが分かりました。
角谷先生は基本的には放任主義でしたが、プログレス発表やディスカッションを通して、実験の組み立て方、データの信頼性など、研究についての考え方を学んだように思います。必ずしもスムーズに進んだとはいえない大学院時代の仕事ですが、整った研究環境と第一線の研究者の方々に囲まれたなかで研究に没頭できた、幸せな三年間でした。
卒業後は海外で研究
総研大では英語教育にも力が入れられています。短期留学生の方がくることもあり、苦手以前に持っていた英語に対する恐怖心は、このときに大分払拭できたのではないかと思います。また、セミナーなどで、角谷研に研究者の方が来るときには、論文でしか知らなかった有名な研究者と自分の研究について話す時間を作ってもらったり、直接意見をいただけたりと、貴重な時間を過ごすことができました。このようなことを通して、卒業後は海外で研究したいということを現実的に考えるようになりました。総研大で過ごした三年間を通して、自分の世界が広がったように思います。
学位取得後は、ウィーンにあるGregor Mendel Institute(GMI)というところで、ポスドクとして研究を行っています。現在所属する研究室は、自分がエピジェネティクスに興味を持つきっかけになった論文を出した研究室で、いつかはここで研究をしてみたいと思っていた場所でした。研究テーマは、small RNAによるDNAメチル化機構についてです。日々新しいことが発見されている分野ですが、世界はまだまだ不思議なことに満ちています。興奮する瞬間を体験するため、今日も実験をしています。