近藤 翼

2026年9月
中村研究室 大量遺伝情報研究室

近藤 翼(こんどう つばさ)

総合研究大学院大学・遺伝学コース5年一貫制博士課程2年次(D2)

中村研究室 大量遺伝情報研究室

総研大、または遺伝学コースを知ったきっかけは何ですか?

総研大を知ったきっかけは、基生研の「大学生のための夏の実習」という3日間のサマースクールです。大学3年生の頃、SNSで情報が流れてきたのを見つけて、面白そうだなと思い、参加しました。サマースクールでも良い経験を積めたのですが、そこで総研大という枠組みを知ることができました。国研への派遣という形なので、学生より研究者の数が多く、RAや長期宿泊施設(総研大生が入居可能)をはじめとした支援制度も豊富という話を聞き、進学候補に入った覚えがあります。そこから総研大に関する情報を集め始め、最終的に遺伝学コースに出合いました。

総研大を受験しようと思った理由は何ですか?

遺伝研の「大学院一日体験会」で中村保一先生の研究室に出合ったのが大きいです。体験会のパンフレットに交通費が半分出るという文言を見つけて本当にフラっと参加したのですが、ポスターセッションの最中に、ゲノム配列決定をテーマとして様々な生物の解析を行っているという中村先生に出合いました。中村先生がネコを何匹も飼うような重度のネコ好きで、最新のネコゲノム決定の成果を皮切りにもっとネコの解析に力を入れたいという話に、同じネコ好きとして興味を持ち、研究室へ伺ってより詳しいお話を聞いたり、一週間の「体験入学プログラム」に参加したりを経て、受験する意思を固めていきました。

現在、どのような研究をしていますか?また、その研究に興味を持ったきっかけを教えてください。

現在はネコのゲノム配列関連情報の高精度化と、研究室が管理・運営しているネコゲノムデータベースCats-Iのアップデートをメインに研究を進めています。生物が持つゲノム配列と、ゲノム上の遺伝子構造・機能を記述した遺伝子アノテーションは、現代の多くの生物学研究を支えている重要なインフラの一つです。研究者がゲノム配列や遺伝子アノテーションに簡単にアクセスできれば、興味を持った遺伝子や実験に必要な配列情報などを簡単にまとめることができます。中村研究室と多くのコラボレーターは、6年前に非常に高精度なネコのゲノム配列AnAms1.0とその遺伝子アノテーションを公開し、Cats-IというゲノムデータベースでAnAms1.0の情報に簡単にアクセスできるようにしてきました。僕はAnAms1.0が持つ情報をさらに最新のシークエンス技術やキュレーションでより正確性を高くし、それと同時にCats-IをAnAms1.0に限らないより広範なネコゲノムを扱えるデータベースにしようと研究を進めています。これにより、より多くのネコの研究者を支援できればと考えています。また、このインフラを自分でも活用し、特にネコの健康増進に関わる研究を進められたらと計画しています。

普段の1日のスケジュールを教えてください。

総研大、または遺伝学コースでの学生生活はいかがですか?

実力が追いつかず、大変なこともありますが、周囲の人達も親切でとても過ごしやすいです。研究面だけでなく体調を崩した時など個人的な困りごとさえいろんな人が助けてくれますし、英語を話していて詰まった時などは誰かしら助け舟を出してくれることも多いです。静かで落ち着いた環境なのでじっくりと研究に打ち込めるのもとてもありがたいです。ウグイスの鳴き声やしゃぎりという三島の伝統的な祭囃子が聞こえてきたり、富士山が研究室から見えたりなど、ちょっと風情があったりもします。長期宿泊施設が近く、走れば1、2分で着いてしまいます。日常生活と研究生活のスイッチを気軽に切り替えやすいのも非常にポイントが高いです。機器類も整っていて、情報系では強い通信環境とスパコンが揃っていますし、実験系の研究室に所属する友人も「やりたいと思ったことはほぼできる充実した環境」と言っています。

総研大、または遺伝学コースのおすすめポイントを教えてください。

総研大のおすすめポイントは、ゆるく多分野が繋がっていることです。例えば、講義でいうと、研究室の同期の一人は非常にアクティブで、総研大内外で提携している興味深いさまざまな講義に積極的に参加しています。生命科学に限って言っても総研大所属の4機関が集まる生命科学リトリートなどのイベントがあるため、様々な研究領域に気軽に触れ合える機に関してはピカイチだと思います。

遺伝学コースでも、遺伝学をテーマに実験系から情報系まで本当に幅広い領域を取り扱っているので、興味のある研究分野がきっとカバーされているはずです。直接話を聞いてみて初めて知ることも沢山あるので、入学しようか迷っているときに説明会などが開催されていたら気軽に参加してみてください。

受験前に、英語はどのように勉強しましたか?また、現在、どのくらいの頻度で英語を使用していますか?

ひたすらTOEIC試験対策で過去問と単語・文法の勉強をくり返していました。ただ、試験の英語と実際の英語だとやはり違うなと実感しています。入学してみて実際に英語を使う場面がきても、試験中と違って双方向の会話なので集中して聞くのも難しく、上手く文章を口に出すこともまだ辿々しいと思います。ラボメンバーとの日常会話や講義・セミナーなどで英語を使う場面自体は頻繁にあります。遺伝研には様々な国から留学生が来ているので、それぞれの特有の訛りになれる必要もありますし、講義やセミナーなどは今まで日本語で覚えてきた科学・生物学用語が完全に初見の単語になって現れたりもするので、基本的に話に追いつくのに必死です。毎日の反復学習によって多少マシにはなっていればいいな……と思っています。周囲の人で英語力が伸びている人を見ると、たとえ難しくても英語で人と接する努力を欠いていないイメージなので、彼らの姿を見ながらこれからも頑張りたいです。

学位取得後は、どのような進路を考えていますか?

まだ固い将来像はできていませんが、現在の専門であるバイオインフォマティクスの知見を活用できる職、あわよくばネコの疾病治療や健康増進に関われるような職に就きたいと考えています。産学官関係なく、広めにバイオインフォマティクス系の研究を行っている機関を探したり、動物系の製薬企業やペットテック企業について少しずつ調べたりしているところです。家族や友人、先生方、研究室スタッフや遺伝研職員の皆様、支援機関など、本当に沢山の支援や機会に恵まれたおかげでここまで来て、現在の研究を行うことができているという実感があります。だからこそ、これまでに習得したスキルや知識、学術的な考え方を、社会に還元できるような形で返せていけたらいいなと思っています。そのためにもまずはしっかり卒業できるように研究を頑張って進め、広げていく所存です。

これから受験する方へのアドバイスをお願いします。

ちょっとでも興味があるのならぜひ挑戦してみてください。いろんな人と関わってみると、どこかで面白いものに出合えると思います。まずは気軽にフラっと体験会などに来てみて、気になるテーマを見つけたら先生にどんどこ話を聞いてみましょう。ちょっと遠いなと思ったらメールで話を聞いてみるのもいいかもしれません。進学するにしてもしないにしても、きっと意義深い経験になると思います。行きたい研究室が見つかったら、全力で突っ走りましょう。例え実力不足などの心配事があったとしても、成長し続ける意思があれば、案外なんとかなると思います。英語についてはどれだけやってもやりすぎということはないので、時間を見つけて力を入れて勉強しておくといいかもしれません。思い切って飛び込んでみてください。

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