大量遺伝情報研究室の中村保一教授が講師を務めた三島市立図書館の令和8年度図書館講座「ネコとイヌの健康長寿化のためのDNA高精度解析」が6月21日に開催され、約80名が参加しました。中村教授は、ネコやイヌのゲノムを高精度に解析し、健康長寿の実現を目指す研究について紹介しました。
中村研究室は、ゲノム情報を解析し、生物の特徴と遺伝子の関係を明らかにする研究を進めています。特に近年力を入れているのがネコとイヌのゲノム研究で、2019年からはネコの高品質なゲノム解読に取り組み、精度の高い基準ゲノムを構築しました。これにより、病気や体質に関わる遺伝子の探索が大きく前進したほか、長年謎とされてきた三毛猫のオレンジ色の毛色を決める遺伝子の解明にも成功しました。
講演では、ネコの慢性腎臓病治療への応用が期待されるAIM研究についても紹介されました。ネコは老廃物の除去に関わるAIMタンパク質が十分に機能しないため、腎臓病を発症しやすいと考えられています。現在、この仕組みを利用した治療薬の開発が進められており、ネコの健康寿命の延伸が期待されています。
さらに、長寿でがんになりにくいことで知られるハダカデバネズミなどの研究例を交えながら、生物が持つ多様な仕組みを理解することが健康長寿の実現につながると説明しました。
講演の最後には、「ネコやイヌの研究を通じて得られた知見は、将来的にはヒトの健康長寿研究にも貢献する可能性がある」と語りました。参加者は身近な動物を題材にした最先端のゲノム研究に熱心に耳を傾けていました。

「ネコとイヌの健康長寿化のためのDNA高精度解析」をテーマに講演する中村保一教授