研究成果

【プレスリリース】腸内細菌のロイテリ菌A41株はマウスの人へのなつき行動と関連する―血中オキシトシン濃度の上昇を伴う行動変化を確認

 小出研究室・マウス開発研究室

Increased abundance of Limosilactobacillus reuteri in the gut of selectively bred high-tameness mice and its association with behavioural changes

Bhim B. Biswa, Hiroshi Mori, Atsushi Toyoda, Kazumichi Fujiwara, Ken Kurokawa, Tsuyoshi Koide

DNA Research DOI: 10.1093/dnares/dsag006

プレスリリース

国立遺伝学研究所のBhim B. Biswa(研究当時は総合研究大学院大学大学院生、現所属ケンブリッジ大学)、藤原一道 特任研究員、森宙史 准教授、豊田敦 特任教授、黒川顕 教授と小出剛 准教授の研究グループは、人になつきやすいマウスの腸内細菌叢を解析し、特定の乳酸菌が「なつきやすさ」に関与する可能性を明らかにしました。

研究グループはこれまでに、野生由来の遺伝的に多様なマウス集団から、「人の手に自ら近づく性質(active tameness)」を指標として選択交配を行い、人になつきやすいマウス系統を作製していました。本研究では、このなつきやすいマウスと対照群の腸内細菌叢を比較解析しました。その結果、腸内細菌全体の多様性には大きな違いが見られなかった一方で、乳酸菌の一種であるLimosilactobacillus reuteri(ロイテリ菌)が、なつきやすいマウスで顕著に増加していることを発見しました。さらに、なつきやすいマウスの腸内に存在するロイテリ菌の中から単離したA41株を培養して対照群のマウスに3週間にわたり投与したところ、血中オキシトシン濃度の上昇とともに、人の手に近づく行動が顕著に増加しました。

本研究は、腸内細菌が動物の家畜化に関わる行動特性に影響を与える可能性を示したものであり、腸内細菌と脳・行動との関係を理解する新たな手がかりになると期待されます。また、今後は動物の人に対するなつき行動を改善するために、本研究で単離したロイテリ菌A41株の活用が期待されます。

人になつきやすい選択交配マウスから単離したL. reuteriのA41株はなつき行動を上昇させる効果を有する