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Q&A 遺伝研と桜Q&A

突然ですが、遺伝研はどんな事をしている所かご存知ですか?また、なぜ遺伝研にたくさんの種類の桜があるかはご存知ですか?こちらでは、そんな「遺伝研」や「遺伝研の桜」に関する質問をご紹介。この機会にちょっと遺伝研通になってみてください。

Q&A①桜について

  • Q1 遺伝研にある珍しい桜ってどんなのがあるの?
    • A 花弁が緑色をした「鬱金(右近)」や「御衣黄」と呼ばれる品種があります。開花時期が4月下旬のため、一般公開の時期には滅多にみることができません。花弁が緑色に見える理由は、花弁に葉緑体が豊富に存在するからです。
  • Q2 どうして遺伝研に桜があるの?
    • A 植物遺伝学者の竹中要博士により、研究と品種保存を目的に桜が収集されたことに由来しています。詳細はこちらをご覧ください。
  • Q3 遺伝研にはどのくらいの桜があるの?
    • A 遺伝研には現在約200種類・500本(成木約300本、幼木約200本)の桜があります。近年、大きくなった桜の枝が重なることによる日光不足が原因で枯れてしまう種類があるため、剪定などの手入れをおこなっています。
  • Q4 遺伝研の桜の見ごろはいつ?
    • A 1月下旬〜2月初旬頃に咲き出す熱海桜からゴールデンウィーク頃に咲く八重桜など、遺伝研には約200種類の桜があるため開花の時期はまちまちです。 すべてが満開になるタイミングはありませんが、例年一般公開の時期は多くの種類の桜が咲きます。 一般公開にお越しになった際は、花の色や咲き方などひとつひとつの桜の違いをゆっくり観察してみてはいかがでしょうか。
  • Q5 どうやって桜は増やせるの?
    • A 「挿し木」や「接ぎ木」の方法を用いるのが一般的です。
  • Q6 遺伝研の桜は誰が面倒を見ているの?
    • A 所内のサクラの管理は遺伝学普及会という団体に委託しています。樹木医さんが状態を確認したり、作業員の方が草を刈るなど細やかな手入れをされています。また所内には「遺伝研のさくらの会」というボランティアグループがあり、桜を管理する活動も行っています。
  • Q7 三島桜ってなに?
    • A 三島桜(ミシマザクラ)は遺伝研がある静岡県三島市の花です。この桜は、遺伝研が染井吉野の起原を探る研究の過程で発見されました。ちょうど完成した三島市庁舎を祝い、名付けられたそうです。
  • Q8 なんで染井吉野は一斉に咲くの?
    • A 染井吉野は、挿し木や接ぎ木でしか増やせないため、どの木も遺伝的に同じ性質を持ったクローンとなります。そのため、気象条件が同じ地域では、一斉に開花するのです。 染井吉野が挿し木や接ぎ木でしか増やせないのは、自家不和合性があるためです。 自家不和合性とは、S遺伝子型がオス(花粉)とメス(雌しべ)で全く同じ組み合わせの場合、受粉しても受精に至らず、種子が実らない現象です。 クローン同士だとS遺伝子も全く同じなので、染井吉野の種子は得られない、すなわち実生で染井吉野を育てることはできません。

Q&A②遺伝研について

  • Q1 遺伝研ってなにするところ?
    • A 国立遺伝学研究所(遺伝研)は、遺伝学を通じて生命のつながりと多様性を研究しています。1949年三島市にできました。
  • Q2 遺伝学ってなに?
    • A 遺伝情報とは、次世代へ受け継ぎ変化していく生命の源です。遺伝学は、この遺伝情報を切り口に生命の謎に挑戦する学問です。遺伝学によって、生物の形作りや脳の働きのみならず、生物の進化や環境中の物質循環といった生命にまつわる様々な現象が理解されつつあります。また、遺伝学で得られた研究成果は、病気の原因の究明、新薬の開発、農作物の品種改良などへとつながっています。
  • Q3 大学共同利用機関ってなに?
    • A 大学共同利用機関は、全国の関連研究者のニーズに応え、また、広く海外の研究者とも連携を図りながら学術研究を推進する、国の中核的研究拠点です。
  • Q4 遺伝研の情報によく出てくる総研大ってなに?
    • A 遺伝研は、総合研究大学院大学(総研大)として、大学院生の教育を行っています。 総研大のコンセプトは「優れた研究環境と人材を活用してトップクラスの研究者を養成する」ことです。 遺伝研は、研究者を目指す学生にとって最高の研究教育環境を提供しています。
  • Q5 どうして遺伝研は三島にできたの?
    • A 遺伝研が三島にできた理由として、5周年記念式典において当時の所長が以下のように述べています。「三つの条件が必要でありました。その一つは場所です。研究所の所在地は寒地でも酷暑の地でも不適当です。試験圃場の利用期間が短くなるからです。この点で湘南地方から西は静岡までが先ず選ばれました。その二は既設の建物があることです。新営の予算がないからです。そしてその三は、建物に直結した相当広い耕地があることです。これら三点を満足するような所を探しました。」また、「この土地は誠に日本でも有数なる景勝地であり、気候もよろしく、空気は清浄で雑音も少なく、作物を試育し、動物を飼育するのに好適であるのみならず、思索の上にも得難い環境であること」とも述べられています。
  • Q6 遺伝研の規模はどのくらい?他の研究所とは関係があるの?
    • A 土地総面積は101,363㎡です。三島市のおよそ0.16%を占めています(2020年4月1日現在)。遺伝研は、極地研、情報研、統数研とともに、情報・システム研究機構を構成しています。 また、現代の生命科学は他研究所と協力して研究を進めることが多くなっています。例えば2021年3月2日に発表された研究成果は、遺伝研の他に6つの大学や研究所などが協力して研究を行いました。
  • Q7 遺伝研では何人ぐらいの人が働いているの?
    • A 所属や立場によって違いはありますが、「遺伝研が雇用しているメンバー」はおよそ400名います。
  • Q8 どんなことを研究しているの?
    • A 生物の遺伝(似ている)と多様性(似ていない)が生じるメカニズムとその意味を研究しています。
  • Q9 遺伝学の最大の謎はなに?
    • A 謎は一つではありません。科学者それぞれが謎を見つけ、研究に取り組んでいます。謎を見つけることがあらゆる研究にとって重要なことなのです。
  • Q10 どうしてDNAがDNAとわかったの?
    • A DNAが遺伝物質であることがわかるには、ミーシャ、シャルガフ、ワトソン、クリックなど様々な科学者の活躍がありました。発見の過程は、生命科学の教科書や図鑑で丁寧に説明されていることでしょう。遺伝研の遺伝学電子博物館も是非ご覧になってください。
  • Q11 なんで生物の複雑な仕組みができたの?
    • A その答えを知ることが私たちの研究の目的でもあります。科学者になって一緒に研究しませんか?
  • Q12 遺伝学ってどんな分野で役に立つの?
    • A 生命科学や遺伝学の発見の多くが医学の進歩に結びついています。また、動植物の保全や利用、環境問題にも応用されています。
  • Q13 どのくらいの頻度で新発見ってあるの?
    • A 科学者は、日々、これまで誰もやったことのことのない実験や解析、見たこともない観察をする研究をしています。発見の大小はあるかもしれませんが、毎日の研究が新発見の連続です。
  • Q14 最新の研究成果はなに?
    • A 遺伝研には約30の研究グループがあり、それぞれの研究分野でたくさんの研究成果が発表されています。研究成果は、こちら(簡易的)やあちら(専門的)のページで詳しくご紹介しています。
  • Q15 社会への貢献は?
    • A 大学共同利用機関として、ゲノム配列の解読やデータベースの整備、モデル動物の提供などの事業を推進しています。さらに、遺伝研(総研大)で学位を取得した修了生は、研究機関や企業など様々な業界で活躍されています。
  • Q16 これまでで最も大きな発見はなに?
    • A 遺伝研は、その歴史がまさに生命科学の爆発的な発展と重なり、分子進化の中立説、mRNAのキャップ構造の発見、DNA複製オリジンの同定など、数々の優れた研究業績を挙げてきました。

遺伝研の桜NIG SAKURA


竹中博士画像
  • ▶︎竹中博士画像

■なぜ遺伝研に桜があるの?

遺伝研の桜は、1950年頃植物遺伝学者の竹中要博士が、研究と品種保存を目的に桜を収集・植樹したことに由来します。 博士の10年以上にわたる研究の結果、ソメイヨシノの起源が明らかになりました。当時の遺伝学は主に交配と観察によって行われていたため、長い年月が必要だったのです。 この結論は、コンピューターを使用したゲノム分析技術によって、遺伝子レベルでも正しいことが証明されています。 遺伝研には現在桜の研究者はいませんが、研究者の情熱が遺伝研の桜となって、私たちを楽しませてくれています。

遺伝研の桜

■写真付き解説書「遺伝研のさくら」

遺伝研の桜は現在、遺伝学普及会という団体が管理しています。また、写真付き解説書「遺伝研のさくら」 財団法人 遺伝学普及会/編 を頒布しています。
「遺伝研のさくら」では遺伝研構内に生育している桜樹木について、正門から順番に、写真と説明文を掲載しています。