
飯田 史織(いいだ しおり)
総合研究大学院大学・遺伝学専攻5年一貫制博士課程2年次(D2)
前島研究室 ゲノムダイナミクス研究室
どうして遺伝研を選んだのですか?
前島研の研究に興味を持ち、ここで研究をしたいと思ったからです。また、大学と比べて学生の数が少なく綿密な指導が受けられること、英語での発表や留学生との交流など英語を使う機会が多いことも魅力に感じました。大学の友人は修士課程で卒業する人が大多数でしたが、遺伝研に入学する学生はほとんどが博士課程に進学するので、学生同士で助け合ったり議論したりできるだろう、と思ったのも大きな決め手です。
入試の思い出は?
1日目の筆記試験が終わって自分の解答を書き出しているときに、完全に勘違いをして、間違った答えを書いていたことに気づきました。2日目の面接で答えられるよう、自分の書いた答えに矛盾しないようなストーリー(屁理屈)を1日目の夜に必死で考えていたことを覚えています。当日、「ここ、矛盾するよね?」と聞かれて、「いや、こういう風に考えれば矛盾しないで成り立ちます!」と答えて、難を逃れました。ある意味なんでもありの試験なので、実際に生物で同じ現象が起こっているかは置いといて、自分で考えたことを話せばいいと思います。面接では、学部での研究内容を説明するパートもありました。研究内容を話すこと自体初めてだったので、何度も練習して、自分の発表を録画して確認・修正して、本番に臨みました。
前島研ではどのような研究をしていますか?
生きているヒト細胞のクロマチン (DNA)の動きを一分子ヌクレオソームイメージングという手法を使って解析しています。DNAにどういう情報が書いてあるのか、ということは最近だいぶ明らかになったのですが、DNAが生きている細胞核の中でどういう構造をとるのか、どういう動きをするのか、といったことはあまりわかっていなくて、そこに興味を持って研究しています。その中でも、現在はコヒーシンというクロマチンを束ねるタンパク質に注目して、クロマチンの動きにおけるコヒーシンの役割についての解析を進めているところです。
なぜその研究をやろうと思ったのですか?
教科書に載っている、分子の名前が矢印でつながっている図に疑問を感じ、生きている細胞の中の状態を直接観測する研究をしたいなと思っていたときに、見学会で前島研の研究の話を聞いて、「これだ!」と直感で決めました。生物を動かしたり、形作ったりする全ての情報はDNAに書いてあるので、その構造や振る舞いは生物の根源的なメカニズムを定義する上で重要な要素なのではないかと思っています。現在注目しているコヒーシンという分子は、クロマチンの構造や動きに大きく関わる分子で、その機能については明らかになっているものの、核の中でどう振る舞うのか、どうやって機能をはたしているのか、については様々な仮説があります。大勢の人が信じていることをひっくり返すような発見ができたらいいなと思います。
大学の研究室と比べて違いはありますか?/どんなところが違いますか?
「あなたは何に興味があって、なぜその研究をやっているのか、自分のアイデアはどこか」ということをすごく求められます。学生というよりは、1人の自立した研究者として見られているのだと思います。大変ですが、学生より教員の数の方が多いので、困ったら相談する先はたくさんあるし、先生方も熱心に話を聞いてくれます。廊下で他のラボの先生に呼び止められて自分の研究についての議論が始まる、といったこともあります。ラボ間の垣根が低いことも特徴の一つだと思います。
遺伝研のオススメってどんなことですか?
学生支援制度が豊富です。RA(リサーチ・アシスタント)に採用されると給与がもらえるし、遺伝研所内の宿舎(家賃9000円前後)に住めるので、経済的にとても助かっています。学生もみんな研究へのモチベーションが高いので、議論したり、相談したり、愚痴を聞いてもらったり、と研究・生活面でも助けられています。また、英語を使う機会が非常に多いので、スピーキング・リスニングがともに鍛えられます。所内の発表は全て英語ですし、留学生とおしゃべりしたり、遊びにいったりするなかで、研究の議論や日常会話は英語で不自由なくできるようになりました。
三島の暮らしはいかがですか?/三島のおすすめスポットはありますか?
わたしは東京と名古屋にしか住んだことがなかったので、三島に住むのは少し不安でした。住んでみたら、なかなか快適な生活が送れることがわかりました。遺伝研が坂の上にあり、駅から遠いのは不便ですが、自転車があれば、大きなショッピングモールに行ったり、おしゃれなカフェに行ったりもできます。近所に大場川という水がとてもきれいな川があって、夕暮れに富士山を見ながら川沿いを散歩するのが好きです。また、野鳥が多く、春には様々な鳴き声が聞こえてきます。
休日はどのように過ごされていますか?
ほかの学生と自転車で市内のラーメンを食べに行ったり、車で伊豆下田や修善寺などの観光地に遊びに行ったりしています。大学の友人とオンライン飲み会やオンラインゲームをすることもあります。市内のキックボクシングジムに通ったり、遺伝研のバスケ部やサッカー部の活動にたまに参加したりして、ストレスを発散しています。
後輩へのアドバイスは?
大学院は20代の大半を過ごす重要な場所なので、いろいろな研究室を見学して、いろいろな話を聞いて、自分がいちばん成長できる場所を選ぶといいと思います。どういう研究に興味があるかよくわからなかったら、学会に参加して話を聞くのもおすすめです。研究内容はもちろんですが、ラボメンバーとの相性や周りの環境もとても重要です。興味のあるラボに学生がいれば、学生目線からの話を聞くのもいいと思います。遺伝研は見学会や体験入学などの制度があるので、軽い気持ちで見学会に行って、興味を持ったラボがあれば体験入学、というルートはとてもおすすめです。
- 2022年3月時点