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講演①質問と回答 (森 宙史)

講演②質問と回答 (米原 圭祐)

  • Q1 近赤外線照射による内因性信号の光学的イメージングの図では、アルファベットで示された領域にわかれていました。これらは機能的に違う視覚皮質だと思いますが、これらは何に基づいて、どうやって分けられているのでしょうか?
    • A まず近赤外線照射をしてその反射光をイメージングすると何が分かるかというと、脳部位が活性しているか活性してないかがわかります。なぜならば、活性化する脳部位では、ヘモグロビンと酸素が積極的に乖離しています。ヘモグロビンから酸素が積極的に乖離することで、この近赤外照射の反射光の強度が少し変わります。それを指標にして、どの部位が活動しているかが観察できます。  ではどうやってこの様々な領野を分離できたかというと大脳視覚皮質にはレチノトピーというのがあり、その網膜上の部位間の関係性が保たれたまま視覚皮質に伝達されます。たとえば、網膜上で4点に刺激がはいったらその4点の位置関係が保たれたまま視覚皮質で活動がみえ、これをレチノトピーといいます。 網膜から脳は非常に正確な部位特異性のある神経投射が起きています。  それぞれの部位は固有のレチノトピーを持っています。どういう視覚刺激を使っているかというと、少しずつゆっくり動く白いバーを見せている。するとレチノトピーのマッピングができる。レチノトピーの法則が領野ごとに異なるためそれを指標にして部位を分けることができる。そのような実験をしています。
  • Q2 マウス網膜においてReichard-Hassenstein型検出器の発見では、6種類の細胞が関与していること突き止めていましたが、どのように6種類と判定したのでしょうか?
    • A 樹状突起からのグルタミン酸シグナルをイメージングした後に機械学習でクラスタリングを行うことで突き止めました。
  • Q3 網膜動画はマウスで40種類あると述べられていました。これらの動画は、意識がなくても統合されるのでしょうか?
    • A 40の網膜動画の中には意識されない動画も含まれています。例えば、マウスの場合は、この40の動画があるということは、神経節細胞が40種類あるということになります。ヒトの場合は20以上あると言われています。一部の細胞は、例えば、オン型の「動き検出細胞」は中脳の底に投射します。これは意識に上らない経路と言われています。  さらに、例えば、視床下部にメラノプシン細胞というのが投射し、サーカディアンリズムの制御に関わっています。例えば、夜になると眠くなって朝になると起きるという現象は、その細胞が体内時計を調節する視床下部の中枢に投射して日内変動リズムを整えています。この現象では、脳は光を感知していますが見えていると感じる視覚とは違うものですね。  そもそも意識に上るもの/上らないものがあります。意識に上るものというは、さまざまな経路がある中で、おそらく視床を経由して大脳皮質一次視覚野に行くものが相当します。