動物飼育実験施設のホームページ

Animal Research Building

動物飼育実験施設

概要
 ゲノム配列の解読が様々な生物種で進み、ゲノム機能を明らかにすることが次の研究課題になってきた生命科学において、遺伝学の基盤が充実したマウス・ラットは哺乳動物におけるモデル動物として益々その重要度を増してきています。これまで国立遺伝学研究所では、マウスを用いた独自性の高い研究を精力的に進め、国内はもちろん世界的にもその研究で名前を知られる存在になっています。しかし、これまで長年に渡って使用してきた飼育施設が老朽化と狭小化のため、研究支援を行う施設として十分な機能を果たせなくなっていました。
 動物飼育実験棟は、新たなマウス遺伝学研究を展開することができるよう、最先端の機能を持つ施設として2003年8月に新たに完成しました。本施設は研究所内の様々な研究グループが使用する共通施設であり、最大5,508個のマウスケージが収容でき、1ケージに3匹飼育すると計算して15,000頭のマウスを飼育することができます。また、マウス同様モデル動物として広く用いられるラットの飼育にも対応できるようになっています。施設内では、遺伝子導入・ゲノム編集・遺伝子ノックアウト・体外受精・行動解析研究などができるよう各種の実験室が設置されています。更に、新たに開発される様々なマウス系統から得られた受精卵及び精子を安定的に保存できるよう凍結胚保存システムが導入されています。2014年には20,000頭のマウス飼育が可能となるように増築を行い、東棟3,061m2、西棟(増築部分)1,309m2の面積を持ち、その設備と規模の両方において、国内でも有数のマウス及びラットの飼育実験施設となりました。
 また、2015年4月からは、研究所内および所外の研究者との共同研究に貢献できるように、所内共通の支援施設「動物飼育実験施設」として組織が設置され、研究の推進に寄与することを目指しています。今後、この動物飼育実験施設を最大限に活用して、生命科学をリードする先端的な研究が展開されることが期待されます。

施設利用にあたって

 動物飼育実験施設は、所内でのマウス及びラットを実験材料に用いた研究を支援するためにつくられた共通施設です。できるだけこの施設が有効に活用されるよう利用者全員で協力をお願いします。同時に、研究所内の多くのグループがこの施設を利用することになります。利用にあたっては、ルールを守って他の利用者や研究グループに迷惑のかからないように極力注意してください。施設の運営は施設職員で行っています。施設利用者にとって使いやすいように考慮しつつ運営を行います。利用に関する問題点や要望はできるだけ考慮するつもりでいますが、各利用者もスムーズな運営にご協力をお願いします。各研究グループで十分に相談した上で、重要であると思われる事項に関しては施設担当者までお知らせ下さい。
 本施設は、微生物学的に統御されたクリーンな動物を用いた実験のみが可能となるSPF施設です。そのため、施設内の動物が微生物感染をしないように様々な対策を講じています。一度汚染をおこすと、飼育マウスの処分、飼育室の消毒などが必要となり、研究上でもコスト的にも大きな損失となります。各自十分注意して飼育を行ってください。

動物実験にあたって

 動物実験においては科学的にはもとより、動物福祉の観点からも、適正な実験動物を用いて適切な実験を行う必要があります。そのため、別途に記載した現在の法規を熟読しよく理解した上で実験を行ってください。実験はあらかじめこれらの法規と倫理に基づいた実験計画をたて、実験動物に不必要な苦痛やストレスを与えることのないように注意を最大限払ってください。実験計画にあたっては、適正な動物実験のための3Rの原則に十分配慮して下さい。3Rの原則とは動物実験の実施に際して、Replacement(動物実験の他手段への置換)、Reduction(使用動物数の削減)、およびRefinement(麻酔、鎮痛剤の使用や実験技術・精度の向上による動物が受ける苦痛の軽減)をあらわすものです。全ての動物実験は、年度ごとに動物実験計画書を動物実験委員会に提出し許可をえたものでなければ開始することはできません。必要な手続きを踏んだ上で実験を行うよう各研究室においては気をつけてください。動物実験に関して初心者の方は、動物実験委員会の主催する講習を受講し資格を取得すると共に熟練した指導者のもとで十分に指導を受けた上で実験を開始してください。また、遺伝子組換え体を扱う実験を行う際は、遺伝子組換え実験安全委員会の指導の下実施してください。当施設としては、これらの事項が著しく破られていると判断される場合には、実験者に施設の利用をお断りする場合もあります。

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