国立遺伝学研究所新分野創造センター遺伝子量生物学研究室(PI:佐々木真理子) 博士研究員(ポスドク)募集

 2023年4月に発足した研究室です。私達の研究室では、多角的なアプローチを用いて、DNAコピー数変化の分子メカニズムを明らかにし、DNAコピー数変化が生命機能に与えるインパクトについて理解することを目指しています。分子生物学、遺伝学、生化学、細胞生物学、生物物理学、ゲノム生物学などの分野で研究経験がある方で、以下の研究課題に取り組んでいただける博士研究員を募集しています。

 研究課題1:染色体上でおこるDNAコピー数変化について
 染色体上の一部の領域が増幅や欠失を起こすと、DNAコピー数が変化します。この領域に遺伝子が含まれると、その遺伝子の発現量が変化し、がんを始めとした様々な疾患の原因となります。しかし、染色体上で起こるDNAコピー数変化の分子メカニズムはまだ十分に理解されていません。出芽酵母のリボソームRNA遺伝子(rDNA)領域には、約150コピーものrDNA配列が連なっています。rDNAコピー数は通常変化しないように制御されていますが、この制御機構が破綻するとrDNAコピーが増幅や欠失したり、染色体外環状rDNA(研究課題2)が産生されます。そこで、rDNA領域を用いてDNAコピー数変化の分子メカニズムを明らかにします。

 研究課題2:染色体外環状DNAによるDNAコピー数変化について
 真核細胞は直鎖状の染色体をもちますが、染色体の一部が染色体外に飛び出して環状化し蓄積するとDNAコピー数が増加します。例えば、出芽酵母のrDNA領域からは染色体外環状rDNAが産生され、その蓄積は細胞老化を加速します。また、ヒトのがん細胞においては、がん遺伝子や薬剤耐性遺伝子を含んだ数Mbpにも及ぶ巨大な染色体外環状DNAが蓄積しており、細胞のがん化、がんの悪性化、抗がん剤への耐性獲得に寄与すると考えられています。この他にも、遺伝子を含まない染色体外環状DNAなど、様々な種類の環状DNAが多くの生物において観察されています。しかし、これまで染色体外環状DNAの生成・維持機構、染色体外環状DNAが生成されてからどのようなメカニズムでどのような機能を発揮するのかについて包括的に理解する取り組みは行われていません。そこで、私達は染色体外環状DNAについて、特に出芽酵母の環状DNAとがん細胞で蓄積する巨大な環状DNAに着目し、
   これらの染色体外環状DNAの生成はどのようにして引き起こされるのか?
   引き起こされた際、どのような分子メカニズムで起こるのか?
   その結果、生命機能にどのようなインパクトを与えるのか?
について理解し、環状DNA生物学を創成したいと考えています。


 当研究室では、本応募の他に国立遺伝学研究所博士研究員や日本学術振興会特別研究員として研究に取り組んでいただける方も大歓迎しています。また、パートナーでの応募を検討されている方は、本応募に加えて、植物進化研究室でも同時期に博士研究員の募集を行っています。また遺伝研では、毎年国立遺伝学研究所博士研究員の募集も行っていますので、そちらもご参照ください。なお、2024年度国立遺伝学研究所博士研究員の募集は締め切りました。


【募集人員】 1名
【勤務地】 静岡県三島市谷田1111
【応募資格】 理系の博士号を取得した方、又は着任までに博士号を取得見込みの方、研究室の一員として協調性をもって職務に取り組んでいただける方を募集します。
【待遇】 給与:年俸額410万円程度。
情報・システム研究機構特定有期雇用職員就業規則 に基づき支給します。
文部科学共済、雇用保険、労災保険、通勤手当(条件付き)が付帯します。
【勤務時間】 就業時間 : 8:30–17:15
休憩時間 : 12:00–13:00
休日 : 土・日曜日、祝日法に基づく休日、12月29日~1月3日は休日
夏季休業:8月12日~18日の土・日を除く連続する2日間(事業所ごとに指定)
裁量労働制
【契約期間】 契約期間は最長2028年3月までで、審査の上で一年ごとに契約を更新します。
【募集期間】 2023年12月31日まで
応募のあったものから随時選考を行い、採用が決まり次第募集を締め切ります。興味をもっていただけた方は、応募前でもお気軽にご連絡ください。
【着任時期】 2024年1月1日以降。着任時期を早めたい方はご相談ください。また、応募から採用まで3ヶ月程度時間を要しますので、着任希望時期に応じて早めの応募をお願いいたします。
【応募方法】 (1)履歴書(書式自由、写真付き、メールアドレスを明記)
(2)これまでの研究概要と志望動機(A4で1–2枚程度)
(3)研究業績リスト(原著論文、総説、著書、学会発表など)
(4)所見を求めることができる3名以上の氏名と連絡先
以上を一つのPDFファイルにまとめてメールで送ってください。また、着任時期について特に希望がある場合はその旨お知らせください。
メール件名には「遺伝子量生物学研究室 ポスドク応募」と明記してください。
【選考方法】 書類選考通過者はPIと面接(対面あるいはZoomによる面接)を行っていただき、面接通過者には 所内でセミナー(対面あるいはZoomによる面接)をしていただきます。
【備考】 PIのこれまでの業績は research map、研究室紹介は こちら、研究室ホームページは リンク を御覧ください。

提出いただいた書類は、情報・システム研究機構個人情報保護規程に則り厳重に管理し、採用審査の用途に限り使用します。これらの個人情報は正当な理由なく第三者への開示、譲渡および貸与することは一切ありません。また、お送りいただいた応募書類は返却せず責任を持って廃棄致しますこと、ご承知おきください。

【問合先と提出先など】
ご興味のある方は、応募前でもお気軽にご連絡ください。
佐々木 真理子 m_sasaki@nig.ac.jp

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