ナメクジウオゲノムの解明によりヒトへつながる脊椎動物への進化をたどる

  遺伝研を含む国際チーム(京都大学 佐藤矩行教授を中心にした国立情報学研究所、理研、米国連合ゲノム研究所など5カ国18研究機関)は、ナメクジウオの ゲノム解析を行い脊椎動物の起源と進化を明らかにした。この結果は6月19日発行の英国科学誌Nature(ネイチャー)誌に掲載された。

背骨のもとになる脊索を持つ動物を、脊索動物という。魚類から哺乳類を含む脊椎動物も、脊索動物に含まれる。
従来、ホヤが幼生時におたまじゃくしのような形をしているために、脊索動物の一番の起源とされていた。

今回、ナメクジウオゲノムの解析結果から、脊索動物のなかでナメクジウオが最初に進化してきたことがわかり、付着して生活するホヤか、自由に遊泳するナメクジウオのどちらが脊索動物の起源に近いかの争いに最終決着をつけた。
さらに、ナメクジウオとヒトの間に共通した遺伝子の並びがあり、さらにその遺伝子の並びが、ヒトでは4倍あり、遺伝子の種類を増やすことで、進化に有利に なる現象(ゲノム重複)を初めて証明、ナメクジウオゲノムの解明によりヒトへつながる脊椎動物への進化をゲノムでたどれた。

研究チームの一人、藤山秋佐夫教授(遺伝研 比較ゲノム)は、「地 球でおきた生命システム進化を明らかにするためには、現存種で進化系統の分岐点一番近い生物のゲノムを丹念に解読することが重要だ。これまでに遺伝研が関 わってきたヒトゲノム、メダカゲノム、ホヤゲノムの解読結果と今回のナメクジウオゲノムの解読結果の詳細な比較から、ヒトを含む脊索動物門の共通祖先の姿 が浮かび上がってきたことが大きな成果だ」 と言っている。
また、今回用いられたゲノム解析の装置やツールが、今後の分子進化学研究の発展に寄与されることが期待される。ナメクジウオゲノム情報は、米国ではJGIからオンライン提供されており、国内では遺伝研で運用されている日本DNAデータバンク(DDBJ:http://www.ddbj.nig.ac.jp)から公開される予定。

プレスリリースページへ

<お問合せ先>
国立遺伝学研究所 生物遺伝資源情報総合センター
比較ゲノム解析研究室 教授 藤山 秋佐夫
TEL: 055-981-6788
知的財産室(広報担当) TEL:055-981-5873