資料提供者 ?森脇 五郎(国立遺伝学研究所名誉所員)からの御寄稿?

視神経消耗症(レーベル氏病)の特異な遺伝現象

(15)Y. IMAI and D. MORIWAKI.
A probable case of cytoplasmic inheritance in man; a critique of Leber's disease. J. of Genetics Vol. 33 (No. 2)(1936年10月)

レーベル氏病を人類における細胞質遺伝として解明出来ることを今井喜孝先生がすぐれた慧眼を以て明らかにされた。私は唯文献の整理をお手伝いしたに過ぎない。先ず特異な点として、第一は罹病女子だけが子孫にレーベル氏病を伝えることが指摘された(ロッセンの法則)。第二は罹病家系出身でノーマルな女性は殆どすべてが病症の保持者である(北島の法則)。そして先生の提唱は受精に当たって精子は殆ど細胞質を寄与しない。従って細胞質の継承は卵子を通じて母体から子供へと、いわゆる母親遺伝をすることになる。しかしノーベル氏病は異常な細胞質だけが発病まで進展するのではなく,男性ホルモンの刺戟が発病に力強い影響を持つと考えられる。

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