出芽酵母

遺伝学で使う酵母

酵母は単細胞の真核生物ですが、基本的な生命現象(例えば染色体の複製、組換え、修復、転写、翻訳等)を司る機構は、高等真核生物とよく似ています。そして、酵母では遺伝解析の手法が確立しているため、真核生物のモデル系としてよく用いられています。

遺伝学の研究に主として使われている酵母には、出芽により増殖する出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)と、分裂により増殖する分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)の2種類があります。

我々が、パン、ビール、酒などの醗酵に用いているのは、出芽酵母です。出芽酵母の全染色体DNAの塩基配列は既に決定され、分裂酵母の染色体DNAの塩基配列も今世紀中に全て決定される予定です。

資料:荒木弘之

出芽中の酵母

出芽酵母
出芽中の酵母(出芽酵母、Saccharomyces cerevisiae)。
直径は約5マイクロメートル。

原図、資料:上村陽一郎、荒木弘之

分裂酵母

分裂酵母の細胞周期

酵母は単細胞真核微生物(菌類)であり、遺伝学の対象として使われる代表的な種として、Saccharomyces cerevisiae(出芽酵母:パンやビール、ワインの醸造に利用される)Schizosaccharomyces pombe(分裂酵母)とがある。両者は同じ酵母とは言っても、進化的には大変にかけ離れた存在で、出芽で増える出芽酵母に対し、分裂酵母は隔壁形成による2分裂で増殖する。このため、分裂酵母は高等生物細胞にも共通する細胞分裂のモデルとして利用され、特に細胞周期の研究にとって重要な実験生物となっている。ここでは細胞分裂についてアニメーションでご紹介します。

資料提供:Frans Hochstenbach・山尾文明

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