遺伝学の歴史

メンデルの法則 〜 優劣の法則

 生物のある1対の形質 (たとえばエンドウの種子の形が滑らかで全体が丸いものと、シワが寄って角ばっているもの) をもつものを交配すると、雑種第一代(F1)では、すべてが両親のどちらか一方の形質のもの(表面が滑らかで丸いもの)のみが生じ、他の親の形質のもの (シワが寄って角ばったもの) は現れてこない(図1・3)。このような雑種第一代で現れる形質を優性(dominant) といい、現れない形質を劣性(recessive)という。雑種第一代では優性の形質のみが現れ、劣性の形質が現れない現象を優劣の法則(law of dominance)という。エンドウの七つの形質にはすべて優性のものと劣性のものとがある。

 この現象を遺伝子で説明すると、表面が滑らかで丸い形質を支配する遺伝子をA、シワが寄って角ばった形質を支配する遺伝子をaとする。両親の体の細胞には、同じ染色体が2本ずつペアで存在するので、遺伝子も2個ずつ存在し、AAおよびaaの遺伝子が存在する (これを遺伝子型という)。この両親から生殖細胞 (花粉または胚珠) ができるときに染色体が半減し、遺伝子もAまたはaが一つずつ生殖細胞に分配される。この生殖細胞どうしが受精すると、雑種第一代 (F1) はAaという組合せになり、Aaに対して優性で、F1の個体はすべてAの形質を現す。


「基礎遺伝学」(黒田行昭著;近代遺伝学の流れ)裳華房(1995)より転載