遺伝学とは

染色体と核 〜 セントロメア > 染色体分配に必須なセントロメア

 細胞周期のS期で複製された染色体は、M期では両極から伸びた紡錘体に捕えられ、娘細胞へと分配されます。この際、紡錘体が結合する染色体の特殊構造はキネトコア(動原体)と呼ばれています。動原体が形成される領域が、セントロメアという言葉で定義されており、その領域に存在するDNAと複数のタンパク質から構成されています(図2)。上に述べたように、セントロメアと紡錘体の結合に異常がおこると、染色体の分配異常が誘発されます。したがって、染色体分配機構を理解するためには、セントロメアがどのように構築され機能するのかを知らなければなりません。しかしながら、高等動物細胞のセントロメア構造の分子基盤の解明はそれほど進んでいませんでした。セントロメアがMbpを超える長大なDNA領域と100種類程度の分子種からなる複雑な巨大複合体を形成していることが解明を遅れていた原因であったと予想されています。しかしながら、現在では、国内外の多くの研究者が、その巨大複合体の解明を目指して、センロメアを構成するゲノムDNAの実体やそこに存在するタンパク質分子種の同定や解析を行い、近年多くの知識が蓄積してきました。以下に現在までにわかってきた知見を解説します。

図2

文責、資料:深川竜郎