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 遺伝子ターゲティングによるマウスの遺伝子改変
   〜 夢の実験法―遺伝子ターゲティングの概略?

 これまで胚幹細胞やキメラ作製、相同遺伝子組換えについて説明してきたが、これらを準備段階として、いよいよ発生工学的手法のなかでも現在最も注目されている遺伝子ターゲティングの全体像を説明する。これはマウスのゲノム中の内在遺伝子の1つを標的遺伝子として選んで、これを人為的にデザインした形の遺伝子に置き換えるもので、動物個体の遺伝子を思うままに改変できるという夢のような方法である。

  実際の実験(図4-6)は、まず標的とする遺伝子のジェノミッククローン(必ずしも遺伝子の全長を必要としない)を入手して、その遺伝子の構造や胚幹細胞での発現状態から、4種類の選別方法(図4-5)のうちどれを採用するかを決定して、相同組換えのための遺伝子ベクターを構築する。この遺伝子ベクターを胚幹細胞に導入して、得られた導入細胞のコロニーのなかから相同組換えを起こしたコロニーを選別する。この胚幹細胞を使ってキメラ胚を作製して、仮親の雌マウスの子宮に移植して、キメラマウスを得る。次に、これらのキメラマウスを交配して生まれた仔マウスを調べることにより、生殖系列キメラマウスかどうかを判別する。この段階での胚幹細胞由来の仔マウスは、常染色体上の標的遺伝子に関しては、改変された遺伝子を片方に持つへテロ接合体である。さらにこれらのヘテロ個体同士を交配すると、改変された遺伝子のホモ接合体が生まれるはずである。ただし、対象とする遺伝子の改変が発生異常などを起こす場合には生まれてこないので、その場合は発生異常を起こした胚を調べる必要がある。なお遺伝子ターゲティング実験についての詳しい解説は、参考図書4ならびに参考文献4-2、3を参照するとよい。

 

中辻憲夫著「発生工学のすすめ」(羊土社)より引用