文部科学省科学研究費補助金『特定領域研究』/染色体サイクルの制御ネットワ−ク
染色体サイクル
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注目研究
片山  勉
  Structure and Function of DnaA N-Terminal Domains: Specific Sites
  and Mechanisms in Inter-DnaA Interaction and in DnaB Helicase
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  片山  勉 Katayama Tsutomu
  九州大学大学院薬学研究院 教授
J. Biol. Chem. 282, 17816-17824 (2007)
Yoshito Abe, Takaaki Jo, Yusaku Matsuda, Chika Matsunaga, Tsutomu Katayama§ and Tadashi Ueda§

 DnaAタンパク質は真正細菌に広く保存された複製開始因子である。C末端のドメインIVはDNA結合領域であり、中間のドメインIIIはORCやCdc6とも共通するAAA+モチーフを含み、ATP結合領域、DnaA間相互作用部位、DnaBヘリカーゼ相互部位をもつ。これらの機能構造解析はここ数年で格段に進歩した。一方、N末端のドメインI-IIもDnaA間相互作用能とDnaBヘリカーゼ相互作用能をもつと示唆されているが、機能構造やこれらとの相互作用様式は不明瞭だった。我々は、まず、種間保存性の高いアミノ酸残基にアラニン置換変異を導入し機能解析を進めた。並行して、共同研究グループ(阿部、植田)はNMRによる立体構造解析に挑んだ。高保存性残基の変異体タンパク質はすべて不可溶性だった。これらは立体構造構築に重要らしい。2年を超す努力の末、ついに立体構造が解明された。ドメインIIが構造を持たずデータを撹乱したのが困難さの一因だったという。NMR解析を進めDnaA間相互作用領域が疎水性残基のクラスターに相当することもわかった。DnaB相互作用部位の同定のため、表面残基の特徴を解析して候補を絞り込み、再びアラニン置換変異体を得た。今度はすべて可溶性だった。DnaB装着に特異的欠損をもつ変異体も見いだされた。この変異体はin vivoでも開始能を欠損していた。さらにいくつかの結果を総合して、DnaAドメインIはHead-to-Head型のダイマーを形成することが示唆された。ドメインIII(AAA+)がHead-to-Tail型で連結するので、ドメインIのHead-to-Head結合のためにはドメインIの回転が必要である。柔軟なドメインIIリンカーがこの回転を可能とする。さらに、ドメインIの回転によりDnaB相互作用部位が開始複合体の表面に整列できる。DnaB-DnaA間の親和性はとても低いので、多数の結合部位の整列により効果的な親和力が形成されるのだろう。DnaBも六量体である。これらの成果により、複製開始複合体の作動メカニズムが立体構造を基にしてより合理的に説明できるようになった。
 本論文はJBC Paper of the Weekに選定された。冊子の表紙絵にも採択された。表紙絵はドメインIダイマーのモデルである。片方の分子には、ドメインI間結合に関わるトリプトファン残基(黄色)、DnaB装着に必要なグルタミン酸残基(緑)を示している。当寸大のDnaB六量体(一部のみ。右上)と1本鎖DNAも示されている。
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代表者あいさつ 編集後記 ©2007  染色体サイクル