文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究」 シリア・中心体系による生体情報フローの制御

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公募研究(平成27-28年度)

公募研究(平成27-28年度)|公募研究(平成25-26年度)

【A01】細胞増殖抑制シグナルによる中心体―基底小体変換機構

研究代表者
水野 健作
東北大学大学院生命科学研究科・教授
専門分野:分子細胞生物学
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主な研究内容

多くの細胞において、一次繊毛は細胞休止期に形成され、増殖期には消失することが知られているが、細胞周期依存的な一次繊毛形成の形成と消失を制御するシグナル伝達機構については不明の点が多い。細胞休止期には、母中心小体近傍に繊毛小胞とよばれる膜構造が形成され,これが軸糸の伸長とともに伸長し細胞膜と融合することで、一次繊毛が細胞膜上に表出する。また、軸糸が伸長するためには、軸糸伸長阻害因子であるCP110が母中心小体遠位から解離することが必要である。私達は、増殖抑制シグナル経路として知られるHippo(MST)経路の下流キナーゼであるNDR2が、Rab8の活性化因子であるRabin8のリン酸化を介して、繊毛小胞形成と一次繊毛形成に関与することを見出した。また、CP110の母中心小体からの解離に必要なTTBK2キナーゼの母中心小体局在化機構を明らかにした。本研究では、これらのキナーゼを中心に、増殖抑制シグナルによる中心体-基底小体変換機構を解明し、増殖抑制シグナル依存的な一次繊毛形成のシグナル伝達機構の解明を目指す。さらに、アクチン骨格動態やメカニカルシグナルと細胞増殖、一次繊毛形成の関連を明らかにする。

【A01】シリア形成における小胞輸送と脂質代謝の協調作用機構の解明

研究代表者
福田 光則
東北大学大学院生命科学研究科・教授
専門分野:細胞生物学(小胞輸送)
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主な研究内容

近年、一次繊毛(シリア)の形成過程における小胞輸送の重要性が注目されているが、その詳細な制御機構は十分に解明されていない。当研究室ではこれまで、小胞輸送の普遍的制御因子である低分子量G蛋白質Rabを対象とした網羅的機能解析を行い、その過程でこれまでシリアとの関連性が報告されていなかったRab20が繊毛関連疾患の一種ジュベール症候群の原因遺伝子産物INPP5E(イノシトールリン脂質代謝酵素)と特異的に結合することを見出した。本研究では、我々が独自に見出したRab20とINPP5Eの結合に焦点を当て、シリア形成における小胞輸送とリン脂質代謝の協調作用機構の解明を目指す。


シリア形成におけるRab20とINPP5Eの結合意義を探る

【A01】分子定規による運動性シリア構築メカニズムの解明

研究代表者
小田 賢幸
東京大学大学院医学系研究科・助教
専門分野:タンパク質構造解析
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主な研究内容

細胞はどのようにして長さを測るのか?これは生物学における根本的な疑問である。細胞内には一定の大きさや長さを持つ構造が多数あり、「定規」分子の存在を示唆している。しかし、これまで真核細胞に定規分子が存在することは示されていなかった。我々は最近、繊毛内で働く定規タンパク質の存在を示した (Oda and Yanagisawa et al, Science 2014)。
繊毛の9+2構造を構成する微小管上には、分子モーターであるダイニンやその制御装置が96 nm周期の繰り返し構造をとっている。我々はクライオ電子トモグラフィーと遺伝学的手法を用いて、繊毛タンパク質のFAP59とFAP172が96 nm周期を規定する分子定規であることを明らかにした。本研究では、この96 nm定規の働きをさらに詳細に解析するとともに、繊毛内に存在する24 nmや32 nmなど他の周期の構築メカニズムの解明も目指す。

【A01】繊毛打3次元運動システムにおける軸糸ダイニンのトルク発生の役割

研究代表者
豊島 陽子
東京大学大学院総合文化研究科・教授
専門分野:生物物理学・細胞生物学
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連携研究者 矢島 潤一郎(同・准教授)
主な研究内容

運動性繊毛は効果的に水流を起こすために一方向に有効打の成分をもつ回転運動を行う。方向性のある回転運動の実現には、繊毛軸糸中のダイニンが局所的に活性化され、その活性化領域が周期的に切り替わるダイナミックな時空の制御が行われる必要があるが、その機構はほとんどわかっていない。本研究では、テトラヒメナ変異体作製技術によりトルク発生の強さを変調させたダイニンを繊毛内で発現させ、3次元運動観察システムにより繊毛運動を計測し、ダイニンによるトルク発生が3次元の繊毛運動にどのように関わっているかを明らかにする。

【A01】軸糸タンパク質の特異的位置決定の分子メカニズム

研究代表者
若林 憲一
東京工業大学資源化学研究所・准教授
専門分野:細胞生物学・生化学
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主な研究内容

真核生物鞭毛・繊毛の内部構造「軸糸」の周辺微小管上には、外腕ダイニン、内腕ダイニン、ラジアルスポークなどの複合体が特異的な位置に周期的に結合している。これらの分子モーター・分子モーター制御因子がそれぞれ微小管上の「正しい」場所に結合することが、鞭毛・繊毛運動にとって重要であると考えられる。私達は最近、緑藻クラミドモナスを材料として、外腕ダイニンの特異的位置への結合に必須な外腕ダイニンドッキング複合体(Outer Dynein Arm Docking Complex, ODA-DC)の性状を明らかにした(Owa et al., 2014 PNAS)。本研究では、1) ODA-DCを手がかりにしたアプローチ 2) ダイニン以外の構造も欠失しているダイニン欠失ミュータントを用いたアプローチ によって、周辺微小管上構造が特異的位置に結合するために必要な分子間相互作用を明らかにすることを目的にする。

【A01】タンパク質間相互作用解析とイメージングに基づく繊毛形成と繊毛内輸送機構の解明

研究代表者
中山 和久
京都大学大学院薬学研究科・教授
専門分野:分子細胞生物学
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連携研究者 加藤 洋平(同・助教)
主な研究内容

1. 観るだけでわかるタンパク質間相互作用解析法(Visible Immunoprecipitation (VIP)Assay) を活用したBBSome、IFT-A、IFT-B複合体の構築様式の全容の解明
2. VIP Assayを活用したBBSome、IFT-A、IFT-B複合体と相互作用するタンパク質の探索と機能の解析
3. GFPやRFPを融合したBBSome、IFT-A、IFT-B複合体のサブユニットなどの安定発現細胞株を利用したTIRFMや三次元ライブセルイメージングによる繊毛内輸送の可視化と調節機構の解析

【A01】1分子超解像観察による、一次シリア基底部の分子選択的拡散障壁機構の解明

研究代表者
藤原 敬宏
京都大学 物質-細胞統合システム拠点・准教授
専門分野:1分子細胞生物物理学
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主な研究内容

一次シリア基底部の構造(細胞膜の配向)を3次元的に把握しながら、基底部の細胞膜に存在する拡散障壁を構成する分子の生細胞超解像(PALM)観察、および、シリア局在分子/非シリア局在分子の1分子追跡をおこない、正確に重ね合わせる。それにより、私がこれまで見出してきた細胞膜分子の拡散抑制機構、(1) 膜骨格フェンス効果、(2) アンカード膜タンパク質ピケット効果、(3) 脂質ドメイン効果、を作業仮説として、拡散障壁の分子構築の実体に迫り、その構造が特定の分子の選択的な出入りを決めるフィルターとしてはたらく機構の解明を目指す。また、ニューロンに形成される一次シリアにも、上皮細胞と同様な分子選択的拡散障壁機構が存在するか?を問う。

【A01】PCP因子を介した多繊毛極性形成の解析

研究代表者
藤森 俊彦
基礎生物学研究所・初期発生研究部門・教授
専門分野:発生生物学
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主な研究内容

卵管では向きの揃った繊毛運動により卵巣から子宮への卵胞の輸送を可能にしている。平面内細胞極性(Planar Cell Polarity; PCP)に関わる因子のCelsr1を欠失したマウスの卵管上皮多繊毛細胞での繊毛形成自身には大きな影響は見られないが、繊毛の向きが揃わなかった。PCP因子である Celsr1からの情報が、繊毛の方向性に関わる細胞骨格系を介して繊毛の向きを揃えることに関わっていることが示唆された。本研究課題では、平面内細胞極性形成を介して多繊毛の向きを揃える機構を解明することを目的とする。目的達成の為に、マウス卵管上皮の培養系と生体内の組織を用いる実験を平行して行う。1) どのようなキューを与えると繊毛細胞が極性を獲得するか、2)繊毛細胞が極性を獲得する際にPCP 因子からの情報がどのように細胞が入るか、3)PCP からの方向性に関わる情報がどの様に細胞骨格系に反映されるか、4)細胞のアピカル面近くでの細胞骨格がどのように整えられ、繊毛が向きを揃えることにつながるかに着目して研究を進める。

【A02】ノード流れの流体・構造連成計算

研究代表者
大森 俊宏
東北大学大学院工学研究科・助教
専門分野:計算生体力学・数値流体力学
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主な研究内容

マウス胚における体の左右の決定には、ノード繊毛の回転運動によって作られる流れ(ノード流れ)が重要となることが分かっている。では一体、どのような情報がノード流れによって移流すれば左右が決定されるのか? これについては、まだ仮説が提案されているのみで不明なままである。現在提案されている様々な仮説の検証には、ノード繊毛周りの力学環境を明らかにすることが必要であり、我々は計算力学的アプローチによりノード繊毛が作る流れ場・応力場の定量化を目指す。具体的には以下の項目について開発・解析を行う。
1. 運動機構解明のための繊毛軸糸の計算力学モデルの開発
2. センサー繊毛に働く膜面応力の定量化
3. ノード内の物質輸送解析

【A02】繊毛外腕ダイニンによるカルシウム依存的屈曲制御と生体調節

研究代表者
稲葉 一男
筑波大学下田臨海実験センター・教授
専門分野:分子細胞生物学、生殖生物学、海洋生物学
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連携研究者 宮戸 健二(国立成育医療研究センター生殖・細胞医療研究部・室長)
河野 菜摘子(明治大学農学部生命科学科・講師)
柴 小菊(筑波大学下田臨海実験センター・助教)
上野 裕則(愛知教育大学教育学部・講師)
主な研究内容

カラクシン(calaxin)はカルシウム依存的に外腕ダイニン重鎖に結合し、微小管の滑り運動を制御する。ホヤ精子では、卵に向かって走化性を示す際の非対称波鞭毛運動に必須であり、ウニ胚の繊毛では屈曲率の上昇と協調的な繊毛運動に関与している。しかしながら、脊椎動物におけるカラクシンの機能については知られていない。本研究では、マウス繊毛におけるカラクシンの機能および生体調節との関連を、ノックアウトマウスを用いた解析により明らかにする。具体的には、ノックアウトマウスにおける繊毛組織、すなわち精巣、気管、脳室等における繊毛の形成、構造、運動、ならびに内臓逆位とノード繊毛の解析を行い、カラクシンが繊毛情報フローにおいて果たす役割を明らかにする。

【A02】ストレス応答MAPKとPLK4による中心体複製制御機構の解明

研究代表者
武川 睦寛
東京大学医科学研究所・教授 
専門分野:分子細胞生物学・分子腫瘍学
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主な研究内容

紡錘体内で微小管の重合中心となる中心体は、G1期には1つしか存在しないが、G2期までに複製されて倍加し、M期には紡錘体を形成する2つの極として機能することで、娘細胞への染色体の均等分配に本質的な役割を果たしている。中心体を正しく複製し、その数を制御することは、細胞分裂に極めて重要であり、一方、その異常は染色体の異数化や転座を招いて発がんの原因となる。我々は最近、様々なストレス刺激に応答して活性化される2つの細胞内シグナル伝達システム、即ちストレス応答MAPキナーゼ経路とp53経路が、協調して中心体複製の鍵分子であるPLK4の活性を調節しており、ストレス環境下での中心体複製停止と染色体安定性の保持に重要な役割を果たしていることを見出した(Nat Commun, 2013)。本研究では、DNA損傷などのストレス環境下で、中心体の過剰複製を防ぎ、染色体の安定性を保持する分子機構を解明すると共に、PLK4の中心体輸送を制御するメカニズムを明らかにする。

【A02】CRISPRシステムを用いた一次シリア情報発信の実証と分子基盤解析

研究代表者
池上 浩司
浜松医科大学・准教授
専門分野:細胞生物学
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主な研究内容

近年のシリア研究では、シリアを情報の『受信装置』ととらえることにより、生体情報フローの破綻を基軸に発生異常や疾患のメカニ ズムが解明されている。一方で、モデル生物のクラミドモナスや線虫を用いた研究において繊毛から小胞が放出される現象が報告され、シリアも情報の『発信装置』になりうることが示唆されつつある。本研究では、近年の革新的技術であるゲノム編集技術を駆使して、遺伝子ノックアウト哺乳類細胞を作成し、過剰発現によるアーティファクトを完全に排除した実験系で、一次シリアからの情報発信=小胞放出=を探究する。とりわけ、多胞体由来の小胞と比較することで、シリア由来の小胞が運搬する『情報』の中身やその機能を探索する。さらに、既知のシリア関連疾患に関わる遺伝子を破壊し、それら疾患におけるシリア由来情報発信破綻の寄与を検討する。これらを通し、『シリア=情報発信装置』という視点から、シリア・中心体系による生体情報フローに新しい概念を提示したい。

【A02】LRRK1による中心体複製及びシリアdisassembly制御機構の解析

研究代表者
花房 洋
名古屋大学大学院理学研究科・講師
専門分野:細胞生物学
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主な研究内容

ROCOファミリーキナーゼLRRK1は、Ras様GTPaseドメインとMAPKKK様キナーゼドメインを持つユニークな分子である。これまでの研究から、LRRK1が上皮成長因子受容体(EGFR)の細胞内トラフィックを制御することを明らかにしてきた。また最近我々は、LRRK1がM期中心体で、PLK1によってリン酸化され活性化していることを明らかにした。活性化したLRRK1は、母娘中心小体解離(中心体複製のライセンシングシグナル)のタイミングを制御することで、S期中心体複製をコントロールしていることを示唆するデータを得ている。またこれとは別に、LRRK1がG1/G0期に形成されたシリアのdisassebmly/退縮に重要なことも明らかにした。LRRK1はシリアのdisassembly/退縮を制御することで、細胞周期S期re-entryに機能していることがわかってきた。そこで本研究では、LRRK1による中心体複製制御機構の解明ならびに、シリアdisassembly/退縮制御機構の解明を目指して研究を行う。

【A02】Wnt5a/Ror2シグナルと一次繊毛の機能連関による腎上皮細胞の極性制御

研究代表者
西田 満
神戸大学大学院医学研究科・准教授
専門分野:細胞生物学・発生生物学
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連携研究者 南 康博(同・教授)
主な研究内容

一次繊毛とWnt/平面内細胞極性(PCP)経路は相互に連関しており、その破綻が嚢胞腎やがんなどの病態に関与していると考えられているが、その分子機構については不明な点が多い。Wnt5aとその受容体Ror2はWnt/PCP経路を主として活性化するが、Wnt5aRor2を原因遺伝子とするRobinow症候群の患者が嚢胞腎を含む腎奇形を発症することが報告されている。また、Wnt5a/Ror2シグナルの恒常的な活性化ががんの進展に関与していることも知られている。本研究では、Wnt5aRor2の変異マウスを用いて、腎臓の嚢胞形成におけるWnt5a/Ror2シグナルの役割を明らかにする。また、がん進展におけるWnt5a/Ror2シグナルと一次繊毛関連因子の関係を明らかにする。

【A02】一次繊毛局在性GPCRのシグナル制御と輸送メカニズムの解明

研究代表者
小林 哲夫
奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科・助教
専門分野:細胞生物学
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連携研究者 伊東 広(同・教授)
主な研究内容

哺乳動物細胞の一次繊毛(Primary cilia)は、細胞外のシグナルを感知するセンサーとして機能し、光、化学、機械刺激や、Hedgehog, Wnt, PDGFなどのシグナル分子を受容し細胞内へ伝達する。一次繊毛を介したシグナル伝達の破綻は、繊毛性疾患と総称される多くの疾患を惹起する。ヒトに700以上存在するGタンパク質共役型受容体(GPCR)は様々な生命現象に関与するが、興味深いことに数多くのGPCRが一次繊毛に局在することが報告されている。しかしながら、何故GPCRが一次繊毛に局在する必要が有るのか、また、どのような分子機構でGPCRが一次繊毛へ運ばれるかについては殆ど分かっていない。そこで本研究では、一次繊毛に特異的に局在することが既知であるセロトニン受容体Htr6に着目し、その一次繊毛依存的なシグナル伝達と生理的意義、及び一次繊毛への輸送メカニズムを解析することにより、上記の疑問を明らかとすることを目的とする。

【A02】コレステロール生合成経路異常による繊毛病発症機構の解明

研究代表者
宮本 達雄
広島大学原爆放射線医科学研究所・講師
専門分野:細胞生物学・人類遺伝学
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連携研究者 松浦 伸也(同・教授)
主な研究内容

多発性腎嚢胞や多指症などの発生形態異常に特徴づけられるシリア病は約200種類存在すると概算されており、そのうちの約130疾患は病因が未だ不明です。本研究計画では、生まれつきコレステロール生合成経路の異常をもつ疾患群に着目して、シリア構造および機能におけるコレステロールの生理機能を明らかにします。また本研究は、繊毛病の治療に向けた基礎研究としての展開も試みて行きます。

【A02】単一シリア内における動態と力学応答の共役を画像化する光学顕微鏡の開発

研究代表者
西坂 崇之
学習院大学物理学科・教授
専門分野:生物物理学
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連携研究者 加藤 孝信(学習院大学自然科学研究科物理学専攻 博士前期課程)
主な研究内容

私たちのグループでは、新しい技術開発によって、単離したマウス気管繊毛の先端にかかる3次元的な力/変位の測定に成功してきた。本研究課題で は、このシステムをさらに深化させ、単一シリア内の化学状態の取得と in vivo への応用を行う。複数のチャネルの情報を同期して取り出す方法論によって、単一シリアの運動と力の精密測定に加え、その内部の化学反応やイオン濃度、さら にはモーターの微細構造といった動態をリアルタイムで追跡する。様々な時空間スケールでの化学・力学カップリングの解明を目標とし、繊毛が非対称 な運動を生み出す分子機構、および繊毛によるシグナル感知機構の詳細について明らかにしていく。

【A02】心筋細胞における一次シリアを介した心外膜腔内流れ感知システムの解明

研究代表者
福井 一
国立循環器病研究センター研究所・上級研究員
専門分野:発生生物学
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主な研究内容

胎生期の心臓発生過程において心筋細胞は一次繊毛を伸長する。一次繊毛で機能する分子であるPkd2やShhの変異体では心房・心室中隔欠損を引き起こすことから、一次繊毛に由来するシグナルが心臓形態形成に重要であることが示されている。拍動を開始した初期の心筋は心外膜に覆われておらず心筋細胞の頂端側と心膜の間(心外膜腔)では拍動依存的なpericardial fluid flowが存在する。私たちはゼブラフィッシュを用いて心筋細胞の一次繊毛が心外膜腔側へ突出して形成されることを見出しており、高速・高解像度で個体レベルの一次繊毛動態変化を観察している。本研究では、心筋細胞における一次繊毛がpericardial fluid flow感知に応答するシグナル伝達機構を明らかにする。特に一次繊毛のメカノセンシングに由来するCa2+シグナルに焦点を絞り、生理的意義の解明に向けた解析を行う。

【A03】シリア・中心体系と細胞極性制御の分子基盤の構築

研究代表者
貝淵 弘三
名古屋大学大学院医学系研究科・教授
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主な研究内容

中心体やシリアのポジショニングは細胞の非対称性と密接にリンクしており、細胞極性シグナルとは双方向のシグナルフローが存在すると考えられているものの、その実体については不明の部分も多い。本研究課題では、シリア・中心体系と細胞極性シグナルの間のシグナルフローについて、特にリン酸化シグナルに注目して、その分子基盤を明らかにすることを目的とし、以下の方法で解析を行う。

  1. シリア・中心体形成に関与するキナーゼ(Casein kinase2, Aurora kinase, NIMA-related kinase, Cdk-related kinase, MAP kinaseなど)や極性形成に関与するキナーゼ(aPKC, LKB, MARK, Aktなど)について、我々が開発した手法を用いて基質のスクリーニングを行う。スクリーニングにより得られた基質候補分子の中から、前者のキナーゼ群では細胞極性関連分子を、後者ではシリア・中心体形成に関わる分子を、それぞれ抽出し、シリア・中心体形成と細胞極性をリンクするシグナル経路の解析を行う。
  2. 培養上皮細胞等を用いて、阻害剤やRNA干渉法等により上記のキナーゼの機能を阻害し、リン酸化プロテオミクス解析を行うことで各々のキナーゼの生理的役割を解析する。
  3. ドミナントネガティブ型KIF3AやCPAP (CentrosomalP4.1-associated protein)、CP110を過剰発現することによりシリア形成を阻害した条件下でリン酸化プロテオミクス解析を行い、これらシリア形成関連分子とリン酸化シグナルの関係を明らかにする。

【A03】紡錘体極派生シグナルの非対称化操作による細胞の非対称化の検証

研究代表者
清光 智美
名古屋大学大学院理学研究科・助教
専門分野:細胞生物学
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主な研究内容

中心体は分裂期において星状体微小管の形成起点として働くが、紡錘体の位置情報を発信し、その配置を制御する細胞内シグナルの生成起点としても機能する。申請者は紡錘体極から派生するPolo-likeキナーゼ1(Plk1)のシグナルが細胞表層ダイニンの局在制御を介して、紡錘体配置を制御することを見出したが(Kiyomitsu and Cheeseman, Nature Cell Biology 2012)、これらの紡錘体極派生シグナルの2極間での対称性・非対称性が細胞分裂の対称性・非対称性の確立に如何に機能するか、十分理解されていない。本申請では、光遺伝学の手法等を用いて、紡錘体極派生のPlk1キナーゼの活性勾配を非対称化する操作法を確立し、紡錘体極派生シグナルの非対称化が紡錘体の配置・構造、細胞分裂サイズの非対称化に十分か検証を行う。また、従来の遺伝学的手法では顕在化しなかった、分裂期における新たな中心体機能の発見にもつなげたい。

【A03】間期の細胞形態情報から細胞分裂軸方向決定へ至る情報変換の仕組み

研究代表者
松村 繁
京都大学 ウイルス研究所・助教
専門分野:細胞生物学
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主な研究内容

本研究では、「間期の細胞の形態・構造の情報」が「分裂期の紡錘体の方向性の情報」へと変換されるプロセスを分子的に理解することを目指す。細胞は、間期における細胞形態によって次の分裂期の紡錘体の二次元平面上の配置方向が制御される。分裂期に細胞はダイナミックに形態変化するが、その過程で間期の形態情報がどのようにして分裂期にまで保持されるのかはわかっていない。現象として、リトラクションファイバーと呼ばれるアクチンファイバーが出現し、リトラクションファイバーが最長で密度が高くなる領域に紡錘体が向くこと、リトラクションファイバーには張力が働きレーザーカットすると紡錘体の向きが変わりうることが報告されている。しかし、この分子メカニズムはわかっていない。進化的に保存された分裂軸制御因子G?i、LGN、NuMAの局在位置がこの二次元平面上の紡錘体の配置方向を決めることがわかってきた。では、間期の形態情報と分裂軸制御因子の局在位置をつなぐ分子メカニズムは何か、これを明らかにする。

【A03】成体新生ニューロンの移動・再生を制御するシリア・中心体系

研究代表者
澤本 和延
名古屋市立大学大学院医学研究科・教授
専門分野:神経科学・再生医学
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連携研究者 金子 奈穂子(同・講師、神経科学、電子顕微鏡解析)
澤田 雅人(同・助教、神経科学、光学顕微鏡解析)
主な研究内容

シリア・中心体は、脳内をニューロンが移動する際に重要な働きを担っていると考えられているが、その制御機構や意義には不明な点が多い。本研究では、成体マウスの正常脳および脳傷害モデルを用いて、脳内で生まれるニューロンが移動する際の、中心体の動態と制御メカニズムを明らかにすることを目的とする。ニューロンが傷害部位へ移動する際のシリア・中心体系の制御機構の解明は、神経再生の技術開発にも役立つ可能性がある。

【A03】多極性ニューロン移動における中心体制御

研究代表者
廣田 ゆき
慶應義塾大学医学部・助教
専門分野:発生生物学
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連携研究者 仲嶋 一範(同・教授)
主な研究内容

大脳皮質形成過程では多数の突起を有して緩やかに移動する多極性ニューロンが一過性に出現し、双極性ニューロンへと変換したのち最終目的地まで移動する。脳室下帯を移動する多極性ニューロン内では中心体の細胞内配置がダイナミックに変化するが、多極性ニューロンが細胞外からのシグナルをどのように細胞内の中心体へと伝達し、適切なニューロン移動を可能にしているかは明らかになっていない。本研究では、ニューロン移動の制御因子として知られるReelin蛋白質の受容体ApoER2が多極性ニューロンに発現することに着目し、多極性ニューロンから双極性ニューロンへの変換における中心体の動態とReelin蛋白質の移動ニューロン細胞表面における作用機序を解明する。