文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究」 シリア・中心体系による生体情報フローの制御

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公募研究(平成25-26年度)

公募研究(平成27-28年度)|公募研究(平成25-26年度)

【A01】細胞増殖抑制シグナルによる中心体―基底小体変換機構

研究代表者
水野 健作
東北大学大学院生命科学研究科・教授
専門分野:分子細胞生物学
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主な研究内容

一次繊毛は細胞休止期に形成され増殖期に消失することが知られているが、細胞周期の制御と一次繊毛形成をつなぐ経路については不明の点が多い。細胞休止期には、母中心小体近傍に繊毛小胞とよばれる膜構造が形成され,これが伸長し細胞膜と融合することで、一次繊毛が細胞膜上に表出する。繊毛小胞形成は繊毛形成の重要な初期過程であるが、その制御機構は不明である。私達は、増殖抑制シグナル経路として知られるHippo(MST)経路の下流キナーゼであるNDRが、Rab8の活性化因子であるRabin8のリン酸化を介して、一次繊毛形成に関与することを見出した。本研究では、増殖抑制シグナルによる中心体-基底小体変換機構を解明し、増殖抑制シグナルと一次繊毛形成を結びつけるシグナル伝達機構を解明する。

【A01】新規クラミドモナス突然変異株を用いた中心子構築機構の解明

研究代表者
広野 雅文
東京大学大学院理学系研究科・准教授
専門分野:細胞生物学
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主な研究内容

中心子(中心小体)は9回対称性の特徴的な構造をもつ。この普遍的構造が正しく構築されることが繊毛機能の発現に重要だか、 その構築機構の詳細は不明である。我々はクラミドモナス突然変異株の単離と解析により、9 回対称性の確立にカートホイールという前駆体構造が本質的な役割を果たすことを明らかにした(Curr. Biol., 2007; Science, 2011)。この成果は中心子構築機構の理解を大きく前進させたと同時に、クラミドモナスを用いた遺伝学的アプローチの有効性を実証した。本研究は、新規クラミドモナス突然変異株を用いて、中心子構造と、中心子によって規定される繊毛軸糸構造の構築機構を明らかにする。具体的には、カートホイールと協調して働く9回対称性確立機構、中心子構造の維持機構、繊毛が細胞から突出するための構造基盤の解明をめざす。

【A01】繊毛構造とその形成に関わるタンパク質の分子構築の解明

研究代表者
豊島 陽子
東京大学大学院総合文化研究科・教授
専門分野:生物物理学・細胞生物学
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主な研究内容

運動性繊毛は高度に保存された9+2構造(軸糸)からなり、それを構成する400種類ものタンパク質が統御されて、自律的な繊毛運動が生み出される。しかし、各タンパク質の局在、機能、役割、そしてその構造形成機構についてはわかっていないことが多い。本研究では、繊毛虫テトラヒメナをモデル生物として、繊毛構成タンパク質と繊毛形成に関わるIFT粒子のタンパク質の組換え体を作製してタグ付けを行い、繊毛構造中あるいはIFT粒子中における位置の同定やサブユニット構造を調べ、分子構築の実態を明らかにすることにより、繊毛運動機構や繊毛形成機構を探る。

【A01】脊椎動物における繊毛運動パターン制御の分子基盤

研究代表者
塚原 達也
東京大学大学院理学系研究科・助教
専門分野:細胞生物学・発生生物学
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主な研究内容

脊椎動物の様々な器官において細胞には様々な運動性を有する繊毛が存在し、異物の除去や物質の輸送などを介して発生・分化や器官の機能に重要な役割を果たしている。繊毛の運動性はモータータンパク質である軸糸ダイニンにより生みだされるが、多くのサブユニットからなる軸糸ダイニンの複合体形成のメカニズムについてはほとんど知られていない。我々は、運動性繊毛を持つ生物に保存され、軸糸ダイニンの複合体形成に関与するKintoun (Ktu)を発見した(Nature, 2008)。本研究では、Ktuの属するPIHタンパク質ファミリーに注目し、ヒトと相同な4種のPIHタンパク質を持つゼブラフィッシュを用いる。人工ヌクレアーゼなどの技術を利用して各因子の機能解析を行うことで軸糸ダイニン複合体形成のメカニズムを解析するともに、器官ごとのPIHタンパク質および軸糸ダイニンの組成の違いに着目することで器官特異的な繊毛運動パターンを生み出す分子基盤の解明を目指す。

【A01】中心体数の制御機構の解明

研究代表者
荒川 聡子
東京医科歯科大学 難治疾患研究所・助教
専門分野:細胞生物学
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連携研究者 清水 重臣(同・教授)
主な研究内容

多くのがん細胞の特徴の1つに、過剰な中心体の存在がある。中心体が過剰に存在すると、染色体の分離異常を促し、染色体の不安定性を介して発癌やがんの悪性化が惹起される。この為、中心体数の制御は、生体にとって極めて重要である。  申請者は、このような中心体数の制御機構を包括的に解析する為に、①中心体の合成・分解のバランス、②他のオルガネラによる制御、③ケミカルバイオロジーを用いた制御系探索、の3方向から解析を進める。

【A01】生細胞でのイメージングを基盤とするシリアの形成とタンパク質輸送機構の解明

研究代表者
中山 和久
京都大学大学院薬学研究科・教授
専門分野:分子細胞生物学
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連携研究者 加藤 洋平(同・助教)
主な研究内容

・ 低分子量GTPaseによるメンブレントラフィックの調節
・ 繊毛内へのタンパク質輸送機構
・ メンブレントラフィックによる細胞分裂の調節機構

【A01】一次シリア基底部における選択的拡散障壁・分子フィルター機構の解明

研究代表者
藤原 敬宏
京都大学 物質-細胞統合システム拠点・講師
専門分野:1分子細胞生物物理学
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主な研究内容

本研究では、「一次シリアを細胞体から隔てている境界構造の実体と、その構造が拡散障壁として、しかも、特定の分子の選択的な出入りを決めるフィルターとしてはたらくことにより、一次シリア全体の極性を維持し、その機能を制御する機構」の解明を目指す。拡散障壁分子の生細胞超解像(PALM)観察と、一次シリアに局在する/排除される膜分子のサブミリ秒時間分解能高速1蛍光分子観察を組み合わせることにより、私がこれまでの研究で見出した細胞膜上の3つの拡散制御効果、(1) 膜骨格フェンス効果、(2) アンカード膜タンパク質ピケット効果、(3) 脂質ドメイン効果、を作業仮説として拡散障壁の機構を検証し、拡散障壁における1分子の振る舞いから、選択的分子フィルター機構を明らかにする。

【A01】シリア形成時の膜供給における細胞内極性輸送の役割の解明

研究代表者
原田 彰宏
大阪大学大学院医学系研究科・教授
専門分野:細胞生物学
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連携研究者 吉村 信一郎(同・助教)
國井 政孝(同・助教)
主な研究内容

線毛形成を始めとする細胞の極性形成を司る分子の研究

【A01】キネシン分子が制御するシリア形成と中心小体接着の分子機構

研究代表者
松浦 伸也
広島大学 原爆放射線医科学研究所・教授
専門分野:人類遺伝学・細胞生物学
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連携研究者 宮本 達雄(同・助教、シリア形成と中心小体接着の解析)
主な研究内容

紡錘体チェックポイント因子BUBR1が先天的に欠損すると、染色体数の不安定性を特徴とするPCS症候群を発症する。PCS症候群は染色体不安定性に起因する高発がん性を特徴とするが、一次シリアの形成不全による「シリア病」でもあることが明らかとなった(Hum Mol Genet 2011)。BUBR1による一次シリア形成機構には、PLK1とその下流のキネシン分子の関与が示唆されている。本研究では、キネシン分子による一次シリア形成と中心小体接着の分子機構を明らかにする。

【A01】光学顕微鏡技術を駆使した単一シリアの動きと力の高精度測定

研究代表者
政池 知子
東京理科大学理工学部・講師
専門分野:生物物理学・生化学
連携研究者 池上 浩司(浜松医科大学・准教授、細胞生物学・分子生物学、シリアの調製・観察)
西坂 崇之(学習院大学理学部・教授、生物物理学・顕微鏡開発)
主な研究内容

従来の光学顕微鏡ではシリアの像を2次元で捉えていたため、運動を定量的に記述することが困難であった。本研究では、マウスの気管から単離したシリア1本の先端に蛍光ビーズを結合してプローブとし、3次元位置検出顕微鏡(Yajima and Mizutani et al. 2008) を用いて高時間分解能・高空間分解能で追跡することにより、運動の定量的な解析を可能にする。さらにこの手法を3次元的に捕捉できる光ピンセットと組み合わせて力学応答も精密測定することにより、シリアの非対称運動が粘液の流れを生み出し、気道から有害微粒子を排出するメカニズムを解明する。

【A02】運動性鞭毛・繊毛のレドックス・シグナリング感受メカニズム

研究代表者
若林 憲一
東京工業大学 資源化学研究所・准教授
専門分野:細胞生物学・生化学
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主な研究内容

緑藻クラミドモナスは、2本の鞭毛を巧みに操り、正と負の走光性(それぞれ光源に向かう、逃げる)を両方とも示す。この正・負の切り替えは、細胞内のレドックス(酸化・還元)状態によって調節される(PNAS 2011)。本研究ではこのクラミドモナス走光性の正負切り替えのレドックス調節機構の分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。具体的には、以下の3点を明らかにする。①細胞内レドックス状態のセンシング機構(クラミドモナスのレドックス感受性異常ミュータントの原因遺伝子解析)、②細胞内レドックス情報を鞭毛へ伝えるシグナリング機構(同、レドックス状態と走光性の正負の対応が異常なミュータントの解析)、③レドックス状態に応じた鞭毛運動の調節機構(鞭毛内の既知レドックス関連タンパク質のレドックス依存的インタラクトーム解析)。

【A02】一次シリアからの情報発信

研究代表者
池上 浩司
浜松医科大学・准教授
専門分野:細胞生物学
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主な研究内容

近年のシリア研究では、シリアを情報の『受信装置』ととらえることにより、生体情報フローの破綻を基軸に発生異常や疾患のメカニ ズムが解明されている。一方で、単細胞モデル生物クラミドモナスの鞭毛から小胞が放出される現象が発表され、シリアも情報の『発信装置』にな りうることが示唆されつつある。本研究では、一次シリアの先端から小胞が切り離される現象を追求し、一次シリアからの情報発信の分子メカニズ ム、さらには情報発信の生理学的意義の一端を明らかにしたい。これらを通し、『シリア=情報発信装置』という視点から、シリア・中心体系によ る生体情報フローに新しい概念を提示したい。

【A02】LRRK1による中心体複製サイクル/シリア伸長制御機構の解析

研究代表者
花房 洋
名古屋大学大学院理学研究科・助教
専門分野:細胞生物学
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主な研究内容

ROCOファミリーキナーゼLRRK1はRas様GTPaseドメインとMAPKKK様キナーゼドメインを持つユニークで巨大な分子(分子量約240 kDa)である。近年ファミリー分子LRRK2がパーキンソン病原因遺伝子(Park8)であることが明らかとなり、臨床的にも注目を集めている。しかしLRRK1の生理的機能に関してはほとんど明らかになっていない。私たちは最近LRRK1が細胞周期をとおして中心体に局在し、M期中心体及びG1期母中心子で特異的に活性化していることを見いだした。LRRK1の中心体における機能を検討したところ、(1)LRRK1をノックダウンした細胞ではG0期一次シリアの形成/伸長が抑制されること、(2)LRRK1の過剰な活性化は中心子複製異常を引き起こすこと、が明らかとなった。LRRK1はキナーゼ活性依存的に中心体で機能していると考えられることから、基質タンパク質の同定を進め、LRRK1による中心体複製サイクル/シリア伸長制御機構の解明を試みる。

【A02】シリアによる神経胚の回転が関わるホヤ胚左右非対称性の決定機構

研究代表者
西田 宏記
大阪大学大学院理学研究科・教授
専門分野:発生生物学
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主な研究内容

様々な脊椎動物において、繊毛によってひきおこされる胚内の液体の流れによって、体の左右対称性が破られることがわかってきた。では、脊椎動物と進化的に一番近縁であるホヤにおける左右非対称性の決定機構はどのようなものであろうか?ホヤの胚内には空洞が存在しない。我々は、これまでに次のようなことを明らかにしてきた。ホヤのオタマジャクシはいくつかの点で形態的左右非対称を示す。Nodal は、ホヤでも左側で発現しており、個体差のない非対称性をもたらすためにNodal が必要である。さらに、神経胚期に胚表全体の表皮細胞から一本ずつ生えている繊毛により、胚全体が囲卵腔の中でゆっくり反時計回りに回転する。この回転は、必ず胚の左を下にして停止する。また、回転停止後、胚の左側と卵膜の接触により、左側でのNodal の発現が誘導されるという、左右非対称を作り出す新しいメカニズムを発見した。本研究では、具体的には、以下の点を明らかにする。① ホヤの神経胚の表皮から生えているモノシリアが、実際に動いているのか。動いているとしたら、どのような動き(ビート?回転?)をしているのかを解析する。② 卵膜から発せられて、表皮にNodal の発現を引き起こすシグナル分子が何であるのかを特定する。さらに、そのシグナルは繊毛によって受容されているのかについても調べる。③ H+K+ポンプの阻害剤が、ホヤの左右性を乱すことがわかっているが、左右非対称形成におけるH+K+ポンプの役割を、シリアの形成、シリアの向きに焦点をあて解析する。

【A02】視細胞におけるシリア・中心体を介した光情報感知システム形成機構の解明

研究代表者
大森 義裕
大阪大学 蛋白質研究所・准教授
専門分野:発生生物学・神経科学・細胞生物学
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連携研究者 古川 貴久(同・教授、発生生物学)
主な研究内容

網膜の視細胞は、光を感知するセンサー細胞であるが、その光センサーとしての機能は、オプシン(光センサー分子)が視細胞のシリア(繊毛)を通過して外節と呼ばれるシリアの先端部に輸送されることで発揮される。オプシンのシリアを介した輸送機構は、視細胞が光情報感知システムとして働くことに必須であり、オプシンの異所的な局在は、網膜色素変性症などの視覚障害を引き起こす。私たちはこれまでに、オプシンの輸送メカニズムについて、ゼブラフィッシュ変異体や遺伝子改変マウスを用いて研究を進めてきた(Omori et al., Nature Cell Biology 2008, Omori et al., PNAS 2010)。オプシンの輸送は鞭毛内輸送(Intraflagellar transport; IFT)と呼ばれるシリア内の特殊な輸送機構を介して行われるが、どのような機構でシリアへ選択的に輸送されているのか、またその輸送がどのように制御されているのかといった分子メカニズムの全体像は未だ明らかとなっていない。オプシンがシリアを介して外節に正しく輸送されるメカニズムを解明することで、視覚障害を引き起こす網膜色素変性症の発症機構の理解や、診断および治療法の確立に寄与することが期待される。

【A02】シリアに局在する摂食関連G蛋白質共役型受容体の情報制御機構

研究代表者
斎藤 祐見子
広島大学大学院総合科学研究科・教授
専門分野:神経化学・神経薬理学
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主な研究内容

1次繊毛-中心体構造はセルセンサー集合体として機能し、繊毛表面に発現する受容体により細胞は周辺環境を効率良く検知して細胞内へと伝達する役割を持つと言われている。1次繊毛の欠損は肥満など多様な疾患と関連する。しかし、その生理学的重要性にもかかわらず、疾患に関与する膜受容体がどのような機構で1次繊毛へ「選択的」に運搬され、どのような機構でシグナル変換が行われるのか不明点は多い。そこで、神経細胞1次繊毛に局在し、摂食・うつ不安と関連するG蛋白質結合型受容体(GPCR)であるMCHR1(メラニン凝集ホルモン受容体1)に着目した。モデル細胞と動物実験を併用することでMCHR1を中心としたシグナル系の解析を行い、「1次繊毛-中心体構造という場」におけるMCHR1の特徴的な情報フローを摂食調節という観点から統合的に理解することを目指す。

【A03】分裂期紡錘体極としての中心体機能・制御解析

研究代表者
大杉 美穂
東京大学大学院総合文化研究科・准教授
専門分野:分子細胞生物学・発生細胞生物学
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主な研究内容

中心体は動物細胞における主要な微小管形成中心(MTOC) であり、分裂期には紡錘体極に位置して紡錘体の細胞内配置や配置方向の決定に重要な役割を果たしている。本研究では、マウスの初期胚は精子から中心体が持ち込まれないため、後期桑実胚?初期胚盤胞期まで中心小体をもたないことに着目し、中心体構造の有無による分裂装置機能や制御機構の違いおよび、初期発生における細胞の極性獲得や分化との関係の解明を目的としている。発生工学の技法を利用した細胞生物学的な視点からの研究展開を目指す。

【A03】シリア・中心体系に基づく細胞構築の非対称化機構

研究代表者
貝淵 弘三
名古屋大学大学院医学系研究科・教授
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主な研究内容

中心体やシリアのポジショニングは細胞の非対称性と密接にリンクしており、細胞極性シグナルとは双方向のシグナルフローが存在すると考えられているものの、その実体については不明の部分も多い。本研究課題では、シリア・中心体系と細胞極性シグナルの間のシグナルフローについて、特にリン酸化シグナルに注目して、その分子基盤を明らかにすることを目的とし、以下の方法で解析を行う。

  1. シリア・中心体形成に関与するキナーゼ(Casein kinase2, Aurora kinase, NIMA-related kinase, Cdk-related kinase, MAP kinaseなど)や極性形成に関与するキナーゼ(aPKC, LKB, MARK, Aktなど)について、我々が開発した手法を用いて基質のスクリーニングを行う。スクリーニングにより得られた基質候補分子の中から、前者のキナーゼ群では細胞極性関連分子を、後者ではシリア・中心体形成に関わる分子を、それぞれ抽出し、シリア・中心体形成と細胞極性をリンクするシグナル経路の解析を行う。
  2. 培養上皮細胞等を用いて、阻害剤やRNA干渉法等により上記のキナーゼの機能を阻害し、リン酸化プロテオミクス解析を行うことで各々のキナーゼの生理的役割を解析する。
  3. ドミナントネガティブ型KIF3AやCPAP (CentrosomalP4.1-associated protein)、CP110を過剰発現することによりシリア形成を阻害した条件下でリン酸化プロテオミクス解析を行い、これらシリア形成関連分子とリン酸化シグナルの関係を明らかにする。

【A03】間期の細胞形態情報から細胞分裂軸方向決定へ至る情報変換の仕組み

研究代表者
松村 繁
京都大学 ウイルス研究所・助教
専門分野:細胞生物学
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主な研究内容

本研究では、「間期の細胞の形態・構造の情報」が「分裂期の紡錘体の方向性の情報」へと変換されるプロセスを分子的に理解することを目指す。細胞は、間期における細胞形態によって次の分裂期の紡錘体の二次元平面上の配置方向が制御される。分裂期に細胞はダイナミックに形態変化するが、その過程で間期の形態情報がどのようにして分裂期にまで保持されるのかはわかっていない。現象として、リトラクションファイバーと呼ばれるアクチンファイバーが出現し、リトラクションファイバーが最長で密度が高くなる領域に紡錘体が向くこと、リトラクションファイバーには張力が働きレーザーカットすると紡錘体の向きが変わりうることが報告されている。しかし、この分子メカニズムはわかっていない。進化的に保存された分裂軸制御因子G?i、LGN、NuMAの局在位置がこの二次元平面上の紡錘体の配置方向を決めることがわかってきた。では、間期の形態情報と分裂軸制御因子の局在位置をつなぐ分子メカニズムは何か、これを明らかにする。

【A03】心筋細胞の核型と増殖の運命決定機構と中心体制御

研究代表者
竹内 隆
鳥取大学医学部・教授
専門分野:発生生物学
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連携研究者 林 利憲(同・准教授)
佐藤 幸夫(同・助教)
主な研究内容

哺乳類心筋細胞は胎生期に活発に増殖し、心臓の形態形成に寄与するが、生後、その増殖を停止し、二度と増殖しない。すなわち、増殖可能な細胞から不可能な細胞へ運命が変わる。また、多くの哺乳類では、この不可逆的な増殖停止の直前に、多数の単核の心筋細胞が二核細胞(細胞質分裂が起こらない)になり増殖停止し、残りの細胞も単核のまま増殖停止する。すなわち、単核細胞から単核細胞、もしくは、二核細胞の二つの運命のいずれかに分かれる。これらの運命の決定について、これまで研究自体がなかった。ところが申請者のマウス分子遺伝学を用いた研究などから核型や増殖停止の運命はいずれもが完了する生後14日よりも相当早く、恐らく胎生期後期もしくは出生前後で決定されていることが示唆された。これらの運命決定に非対称分裂や細胞質分裂を制御する中心体が関連することが強く予想される。そこで本研究は、心筋細胞が最終的に単核細胞、二核細胞になる運命および生後14日付近で増殖停止を起こす運命が、いつ、どのような仕組みで決定されるか、また、その仕組みと中心体制御との関連の解明を目的とする。そして、その成果から心筋細胞の核型決定や増殖停止の運命を操作し、二核細胞と単核細胞の存在比の変更や増殖停止の遅延を試み、それぞれの細胞の存在意義と増殖停止自体の意義を解明する。これらの研究から、心筋細胞の増殖制御機構の理解が深まり、さらに様々な細胞の運命決定機構の解明とその応用による細胞機能の理解と医療への発展が期待される。

【A03】多極性-双極性ニューロン変換における中心体の機能

研究代表者
廣田 ゆき
慶應義塾大学医学部・助教
専門分野:発生生物学
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連携研究者 仲嶋 一範(同・教授)
主な研究内容

大脳皮質形成過程では多数の突起を有して緩やかに移動する多極性ニューロンが一過性に出現し、双極性ニューロンへと変換したのち最終目的地まで移動する。脳室下帯を移動する多極性ニューロン内では中心体の細胞内配置がダイナミックに変化するが、多極性ニューロンが細胞外からのシグナルをどのように細胞内の中心体へと伝達し、適切なニューロン移動を可能にしているかは明らかになっていない。本研究では、ニューロン移動の制御因子として知られるReelinシグナル構成因子が脳室下帯に発現することに着目し、多極性ニューロンから双極性ニューロンへの変換における中心体の動態とReelin蛋白質の移動ニューロン細胞表面における作用機序を解明する。