文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究」 シリア・中心体系による生体情報フローの制御

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領域代表挨拶

「領域の発足にあたって」

中心体は分裂期の細胞で紡錘体の形成中心として機能する一方、静止期の細胞では、その核である中心小体がシリアの基底小体として使われ、シリア構造を形成します。意外と知られていないことですが、従って中心体とシリアは、細胞周期によってダイナミックに相互変換する細胞内小器官なのです。このシリア-中心体系が、様々な生化学シグナルや力学的シグナルの発生・伝達・応答に重要な役割を果たすことが明らかになりつつあります。とりわけ、一次シリアは驚くほど多様な生理作用に関与し、その破綻は多彩な疾患・症状に結びつく事が爆発的なスピードで明らかにされています。我が国の中心体やシリアの研究は長い歴史と蓄積のある分野ですが、中心体は細胞分裂における役割から研究され、一方シリアは運動性という働きに注目されて来ました。この領域研究では、中心体とシリアという密接に関連する2つの細胞内小器官を、ダイナミックに変化する1つの細胞内小器官と捉え、細胞内・組織間の情報フローを制御する場として着目します。様々な生物・細胞における中心体とシリアに関する研究を融合することにより、その構造と機能に関する理解を飛躍的に発展させたいと思います。

とくにこの新しい研究領域には、王道である細胞生物学に加えて、生物物理学・数理生物学・工学・構造生物学・臨床医学など様々な概念と技術を取り入れることが必須です。そのような広域分野を吸収することで、大きなブレークスルーと着実な進歩を生み出したいと思います。平成25年度から始る公募研究課題では、多彩な分野からの提案を期待しています。計画研究班と公募研究者、先端的研究者と若手研究者層が一緒になり、生体情報のフローと細胞構築の動態をリンクさせる新しい学問分野を創出することで、若い世代の研究者の分野を超えた連携と活性化を目指します。

領域代表、濱田博司(大阪大学大学院生命機能研究科)