プレゼンテーション法講習会

 

October 24, 2001
11:00-12:00
NIG Guest House Seminar Room (Guest House 2F)

高橋 淑子

奈良先端科学技術大学院大学・バイオサイエンス研究科

 

口頭発表のプレゼンテーション法
一瞬に勝負をかけるには

 

生命科学の分野においては、得られた研究成果を公表する方法として、論文発表、口頭発表、ポスター発表、の3種類に大別される。いかなる手段を用いる場合でも、読者・聴衆に対してわかりやすく伝える努力をすべきであるという点では共通する。一方で、論文やポスターにおいては、書いてある事柄を読者/聴衆が気が済むまで繰り返し見直すことができるということから、口頭発表とは性格が若干異なる。今回のセミナーでは、特に口頭発表を念頭に置いたプレゼンテーション法のあり方についてデスカッションしたい。口頭発表では、スライド画面や語り言葉が一瞬のうちに過ぎ去っていくため、その一瞬に勝負をかけなければならない。また学会やシンポジウムにおいては、聴衆の中に分野外の人がより多く含まれる傾向が強いことから、普段よりもさらにわかりやすい表現に留意することが要求される。 昨今、コンピューターを用いたスライドづくりやパワーポイントの普及によって、プレゼンテーションにおける技術の利便性が飛躍的に向上した。文字使いや写真の配置等々がプレゼンテーションの「最終手段」として大切であることは自明であるが、これらの細かい技術は、口頭発表におけるデータの内容と論旨の組立に完全に依存するものであり、一般論として「こうあるべき」と語ることは、うわべだけの注意点にとどまる危険性がある。加えて「プレゼンテーション法」ときくと、ついこれらの「技術の習得法(あるいはソフトの使い方)」と取り違えている人も少なくない。プレゼンテーション法はそれなりの「文化」の中で育まれるものであるのだが、独立した研究者を含めて、見よう見まねで模索しているのが日本の現状であろう。

プレゼンテーション法の上達には、プレゼンテーションがなぜ重要であり、これがうまくいかないとどんな悲劇が起こるのかについて、日頃から常に意識する以外に方法はない。プレゼンテーション伝授法における問題点などもふまえて皆様と一緒に考えていきたい。

chairperson: Yasushi Hiromi