ショウジョウバエ 〜 ハエの名前の付け方(その1)
T..S.エリオットの作った詩に「猫に名前をつける」というのがあります。
猫には、「日ごと夜ごとの平凡な呼び名」、「ぜったいこの猫以外にゃー通用しないっていう名前」、「深みのある謎めいた驚くべき名前」の3つの名前があるという内容です。
ここではハエの名前の場合をお話しします。ハエの名前といっても、ゴミ箱のまわりを飛び回っているハエ一匹一匹に名前を付けようてえんじゃーありません。まず、ハエはハエでもショウジョウバエという小さなハエで、遺伝研を始め、広く遺伝学的研究に使われている「高尚な」ハエです。次に名前といってもハエ一匹一匹の名前ではなく、ハエの遺伝子の名前の付け方についてです。
「遺伝子」というのは親から子に伝えられる個々の情報を担うDNAの領域のことで す。遺伝子を調べれば、生き物がどうやって作られ、機能するかといったことの情報が得られますから、世界中で大勢の科学者が遺伝子の研究をしています。人には数万個、ショウジョウバエでも1万個以上の遺伝子があって、これにひとつひとつ名前を付けようというのですから大変な作業です。通し番号という考えもあり得ますが、それでは、遺伝子5839は眼を作る遺伝子、遺伝子7204は学習の遺伝子なんてふうに覚えるのは大変です。遺伝子の名前を聞けば、何となくその遺伝子が何をしている遺伝子かわかったり、記憶する手がかりになるという名前を付けたいものです。