ゲノムは生物種固有の設計図である。ゲノムには、他の生物種のゲノムと容易には混じり合わない仕組みが存在することで、種としての同一性を維持している。これをここでは「ゲノム障壁」と呼ぶ。人類は古代より膨大な植物種を交雑し、ゲノム障壁を打破できる希少な組合せを見出すことで、異種ゲノムを融合し、新たな植物種を産み出してきた。しかしこの有史以来の育種はゲノム障壁の実体が不明であるために、かけ合わせの種類も限られてきた。論理に基づく作物育種のためには、花粉・胚嚢形成、受粉、受精、種子形成の不全として観察される植物の「ゲノム障壁」機構を分子レベルで解明する必要がある。
本特定領域では生殖過程に潜む一連の「ゲノム障壁」制御遺伝子の機能・相互作用を統合的に研究し、「ゲノム障壁」機構の全容解明を目指す。本研究成果は植物ゲノム障壁・生殖機構の理解に止まらず、異種ゲノムを有する遠縁種間ハイブリッド作物作出を見すえた研究も期待している。
このため重点的に研究を推進する「計画研究」とともに、これらに関連する一人又は少数の研究者による意欲的な研究を公募する。「公募研究」は年度当たりの応募額が400万円程度で、2年の研究を10件程度とする。なお、挙げられている具体的な研究課題に厳密に合致するものではなくても、関連がある意欲的なテーマへの応募は歓迎する。