植物ゲノム障壁ロゴ 平成18年度発足特定領域「植物の生殖過程におけるゲノム障壁」 領域代表者:国立遺伝学研究所・系統生物研究センター 教授 倉田のり
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(3) 本特定領域研究の緊急性

人類は古代より膨大な植物種を交雑し、「ゲノム障壁」を打破できる希少な組合せを見出すことで異種ゲノムを融合し、新たな植物種を産み出してきた。しかし、従来の育種では「ゲノム障壁」の実体が不明であるために経験と勘が頼りで、かけ合わせの種類も限られていた。交雑育種への新たな効果的アプローチを可能とするためには、花粉・胚嚢形成、受粉、受精、種子形成など生殖の各ステップで見られる「ゲノム障壁」を分子レベルで解明する必要がある。さらに、個別に解明された要素の相互関係を理解し、再統合することによって「ゲノム障壁」の全体像を明らかにする必要がある。そのために他の研究種目ではなく、特定領域研究による融合的研究が必要となる。こうした研究が牽引力となって、受粉・受精・胚発生に関連する分野の発展と、それらを受けた植物生殖や多様性研究分野全体の研究展開につながることが期待される。以上の点から、本特定領域研究は、植物の生殖機構(ゲノムを子孫に伝える)を理解することと、ゲノム障壁打破による新育種技術の確立において必要である。
モデル植物であるシロイヌナズナに続き、主要穀類であるイネの全塩基配列が決定された。我が国において、個々の生殖研究の積み重ねはこれまで多くの成果を出したが、体系だったゲノムワイドな生殖研究については、ほとんど手つかずの状態である。双子葉と単子葉のモデル植物ゲノム情報が明らかになったこの時期に、我が国に根着いた生殖研究をさらに発展させるには、総合的取組みによる研究組織で速やかに研究を展開することが特に必要である。
本申請研究では多様な植物種で生殖研究をリードしている我が国の研究グループの中から「ゲノム障壁」と特に関連深い研究を中心に計画班を組織した。「ゲノム障壁」の打破に結びつく研究の早期展開のために、個々の計画班員がこれまで培ってきた生殖現象に関する研究を新たな共同体制のもとで有機的に押し進めることが何よりの急務だと考える。さらに本特定領域内に作られる支援班の活動により、モデル植物の生殖の全過程における生殖関連遺伝子の発現について網羅的に解析を行い、その情報をすみやかに個々の計画班の研究に反映させること、反対に個別の計画班員の研究で得られた「ゲノム障壁」情報をモデル植物の生殖システムの中に速やかに位置づけ、「ゲノム障壁」の全体像解明に生かすことにより、広範囲に渉った研究が展開できると考える。そのため、本研究領域においてはモデル植物を研究材料とするグループと生殖研究に有利な材料を取り扱うグループをバランスよく配置し、さらに支援班により生殖関連遺伝子の発現に関して網羅的解析を行う。

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文部科学省科学研究費補助金「特定領域研究」 平成18年度発足特定領域 領域略称:植物ゲノム障壁
事務局/東北大学大学院生命科学研究科 教授 渡辺正夫

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