行動テスト     Top Page

 

Running-wheel activity test

回転輪テスト

マウスの自発的な活動を定量するための方法の一つ。回転輪(wheel,ホイール)を設置した特殊ケージを用いる。特殊ケージでマウスが自由に移動できるようにすると、とくに夜間はさかんにwheelをまわすようになる。テストに慣れるまでには1週間以上必要である。



 

Home-cage activity test

赤外線センサーを用いたホームケージ活動性解析

ケージ上部にとりつけられた赤外線センサーでマウスの動きをとらえ数値化する。通常の飼育ケージとほぼ同じものを使用してマウスを飼育しながら活動量を計測できるる。ほかの自動計測装置に比べると安価で、ホームケージ内でのさまざまな活動を区別せず総合的に定量できる利点があるが、装置間の感度のばらつきに関してはあらかじめ十分な検討が必要である。



 

Activity test

画像データにより移動活動量を測定する装置

ケージ内のマウスの動きを映像として記録し、その画像を解析して移動距離などを算出する。前述の赤外線センサーを用いて活動を定量化する装置の数値がセンサー反応の回数で示されるのに対し、この装置では移動距離で示される。



 

Novel-cage test

新奇ケージテスト

次のオープンフィールドテストと同様に新奇な状況に置かれたときのマウスの探索行動や危険評価行動などの情動行動を見るためのテストである。新奇ケージテストの特徴は、環境が比較的馴染みのある飼育ケージであるため、引きおこされる恐怖のレベルがより少ないことである。テストの手順としては、新たなケージに入れてから5〜10分間の活動を測定する。



 

Open-field test

オープンフィールドテスト

行動実験のなかでももっとも有名なテストのひとつである。1934年にC.S.Hallがラットで情動性(emotionality)を測定するテストとして考案し,その後、さまざまに改変されながらマウスでも利用されてきた。現在,解析装置や手法は多様化しているが、基本的には、マウスにとって、広くて明るく新奇な環境であるオープンフィールド(60×60×40cm)内でのマウスの行動は、観察者が実際に観察記録するとともに、ビデオカメラでも撮影し、データを抽出する。



 

Light-dark box test

明暗箱テスト

明箱と暗箱の間のしきり板にマウスが通り抜けられる程度の穴が開いた明暗箱を用いる。明箱に入れられたマウスは、新奇で明るい環境であるためしばしばフリージングを示すが、暗所を好むためやがて暗箱に進入する。暗箱に侵入するまでにかかる時間を測定する。また,その後明箱と暗箱を往来する回数と,暗箱での滞在時間を測定する。



 

Elevated plus maze test

高架式十字迷路テスト

マウスの示す不安行動を測定するテストであり、薬理試験などでは頻繁に利用されている。床から約60cmの高さに設置した十字型のプラットフォームのうち、向かい合うふたつのアームは透明の壁があり、ほかのふたつのアームは壁がない。中央に置かれたマウスは高所に対する恐怖が強ければ壁のないアームへの進入を避け、壁の存在するアームへの進入をより好む傾向が出てくる。その2種類のアームへの進入の割合や探索行動の比較することで不安レベルを定量化しようとするものである。



 

Rota-rod test

ロータロッドテスト

マウスのもつ運動機能の協調性と平衡感覚を測定する装置として考案された。運動機能に異常があれば、行動実験の結果の意味も異なってくるので、このようなテストで確認をしておくことは重要である。一定の加速ができる回転棒をもつ装置にマウスを乗せ、ゆっくりした回転から徐々に加速してゆく。その状態でマウスが回転棒から落下せずに歩くことができる時間を調べる。繰り返しテストすることで、運動学習機能についても検査することが可能である。



 

Forced swimming test

ポーソルト強制水泳試験

うつ病モデルの開発にしばしば利用されている。ポーソルト強制水泳試験は、マウスの尾が底に届かない程度の深さまで水を入れた円筒形の容器にマウスを入れ、泳いで移動している時間と無動の時間を計測する。無動の時間が長いものは、うつのモデルになると考えられており、実際、抗うつ薬を投与すると無動の時間が減少することが知られている。



 

Tail suspension test

テールサスペンジョン試験

テールサスペンジョン試験は、うつ病モデルの開発にしばしば利用されている。マウスの尾を固定し逆さにぶら下げるもので、懸垂下で逃れようと動いている時間と無動の時間を計測するものである。無動の時間が長いものは、うつのモデルになると考えられており、実際、抗うつ薬を投与すると無動の時間が減少することが知られている。



 

Passive avoidance test

受動的回避行動テスト

前述の明暗箱の床に電気ショックがかかるワイヤーグリッドを設置した装置を用いる。明箱に入れられたマウスは、暗い環境を好むためやがて暗箱に進入する。完全に身体が進入した後にマウスが嫌悪する程度の電気ショックをかけるとマウスはあわてて明箱に戻る。そこで飼育ケージに戻す。翌日、電気ショック機能をオフにした同じ装置の明箱に前日と同様にマウスを入れる。ここで、マウスが本来好むはずの暗箱に侵入しなければ、そのアクションをおこさないことで電気ショックを回避したことになる(受動的回避行動とよばれる)。初日の暗箱に入るまでの時間と二日目の時間を比較することで、回避学習能力を検討することができる。



 

Startle response test

驚愕反応テスト

急激な音刺激や触覚刺激などに対する無条件反射反応のことである。音刺激に対する驚愕反応は,通称ASR(acoustic startle response)として知られている。マウスの音刺激に対する反応性を測定するには、刺激となる音を出すためのスピーカーが設置された防音箱の中に、専用のシリンダー内に拘束したマウスを置き、音刺激を与える。この際にマウスの驚愕反応を振動として計測することで、反応の強さを計測する。音刺激の大きさは大抵70〜120dBが用いられ、刺激を与える時間は30〜50msec、各トライアル間隔(ITI: inter trial interval)は15〜30secに設定されることが多い。セッション内で異なる大きさの刺激がランダムに提示されるようにすることで前後の刺激の大きさに依存しない各刺激強度に対するデータをまとめて得ることができる。数回の各刺激強度に対する驚愕の度合いの平均値をASRとして算出する。



 

Prepulse inhibition test

プレパルスインヒビション(PPI)テスト

PPIは、提示される音刺激の直前に、先行する弱い音の前刺激をはさむことによって、音刺激や触覚刺激に対する驚愕反応が減弱するという現象であるマウスでPPIを測定するには、スタートルレスポンス(驚愕反応)の測定装置と同じものを用いる。プレパルスなしの刺激に加え、数種類のプレパルスを直前にはさんだ各刺激をセッション内でランダムに提示されるようにスケジュールを組み,数回のセッションを行うことで、各プレパルスによる驚愕反応の減弱の有無をデータから算出する。Acoustic prepulse inhibition testでは、音刺激の大きさは大抵120dB、音刺激が提示される長さは30〜50msec、直前のプレパルスは70〜95dBが用いられる。各プレパルス強度による驚愕反応の減弱度合い(%PPI)は、次の式で算出する。
{1-(各プレパルス後の驚愕反応の平均値/ASR)}×100



 

Social interaction test

ソーシャル・インタラクション テスト

このテストは、社会性を調べるために、同腹2個体のマウスを用いたオープンフィールドテストである。基本的な手順としては、1個体のオープンフィールドテストと同じである。ただし、行動観察開始時点で、フィールドの対角にそれぞれマウスを置き、そして、10分間の動画を撮影する。2個体間のにおい嗅ぎ (Sniffing)や毛づくろい(Grooming)、攻撃(Attack)や尾振り回し(Tail-rattling)などの社会的行動頻度や、時間を計測することで、マウスの社会性について評価しようとするものである。



 

Resident intruder test

居住者−侵入者テスト

このテストでは、マウス攻撃性の高低を調べることができる。実験には、同腹のオス2個体〔居住者(Resident)と訪問者(Intruder)〕を用意する。そのうち1個体を居住者として大ケージ(30×20 cm)に入れ、10日間個別飼育し、居住者になわばりを形成させる。その後、訪問者を居住者のいる大ケージに移し、15分間の動画を撮影する。撮影した動画から、最初の攻撃までに要した時間や攻撃行動に費やした時間などを計測しマウスの攻撃性を評価する。攻撃行動としては、攻撃、尾振り回し、追跡、立ち上がりなどがある。



 

Three chambers social recognition test

Three chambers社会性テスト

Three chambers装置は、マウスの社交性(Sociability)を調べるために使用される。その名の通り、この装置は、2枚のしきりで区切られた3部屋からなる。各部屋は、しきりにある出入り口から行き来可能である。



 

Social recognition test

ソーシャル・レコグニション テスト

このテストは、マウスのもつ新奇探索性を利用したテストである。まず、被験マウスを、小さな穴のあいた空のシリンダーを置いたホームケージで10分間慣らす。同時に、刺激マウス(Stimulus mouse) を別のシリンダーに入れ、その環境に慣らす。その後、刺激マウスの入ったシリンダーを、被験マウスのいるホームケージに移し、5分間の動画を撮影する。そして、被験マウスの刺激マウスに対する接触頻度を調べる。15分の間隔で同じ刺激マウスを用いて、このトライアルを、4回繰り返す。そして、最後の5回目のトライアルでは刺激マウスとして、別の個体を用意する。刺激マウスには、お互いに過去に接触のないマウスを用いる。通常の社会認識が可能なマウスであれば、刺激マウスへの興味は、トライアルを重ねるたびに徐々に薄れていき、5回目の新奇マウスの登場に対して、この個体を最初の刺激マウスとは、別個体であると認識して興味を再喚起される傾向がある。したがって、この傾向と比較することで、被験マウスの社会認識能力を評価することが可能である。



 

Hot-plate test

ホットプレートテスト

動物において、感覚神経上の痛覚受容体を介して中枢に伝達された痛み刺激は、上位中枢に伝達される場合と、脊髄後角から侵害反射の系に送られる場合がある。このなかで、ホットプレートテストは上位中枢に制御される痛覚反応を調べるものである。52℃に保温したプレート装置上にマウスを移し、マウスが後肢を振るまでの時間やなめるまでの時間を測定する。ジャンプした場合は熱から逃避しようとしているのでそこでテストを強制的に終了する。



 

Tail-flick test

テールフリックテスト

このテスト は侵害反射が関与する痛覚感受性試験としてよく知られている。マウスを黒いベルベットの布などで簀巻きにして包み、テールフリック装置上に軽く押さえて置き、その尾を熱投射口に自然な形になるように抑えながら置く。尾が落ち着いたら装置のスイッチを入れ、マウスの尾に投射熱を与え、脊髄反射により尾を振り払うまでの潜時を測定する。投射熱を与える場所をずらしながら、3度測定する。中間値をデータとして用いる



 

Fluid intake test

飲水テスト

試験管の中に入れた水溶液を特殊な給水口を用いてケージに固定し、マウスが消費した水溶液の量を測定する。1本の給水ボトルのみで測定する1-bottle testと2本の給水ボトルで測定する2-bottle testがある。2-bottle testでは、水を入れたコンロロールボトルと、水溶液を入れたボトルを同時にマウスに提示し、そのコントロールに対して水溶液を飲んだ割合で結果を解析する。2-bottle testの場合には、マウスが特定のサイド(右側あるいは左側)に好みを示す場合があるので、通常1日測定したら次の日は給水ボトルの位置を入れ替えて再度1日測定し、その平均値をとる。



 

Video recording analysis

ビデオ画像の観察法

安価に解析するためには、透明なプラスチック製ケージに入れたマウスの行動をビデオ画像として記録し、一定時間行動項目を記録する方法がある。マウスはケージ内で、歩行、毛づくろい、ケージの壁際での立ち上がり、跳躍、ハンギング(ケージの網のフタにつかまる)、採餌、飲水などの行動を示す。これらを、直接画像を観察することによって、出現回数・時間などを記録するものである。この方法は、ビデオ画像があればできるので装置は簡単であるが、長時間の解析は難しい。

 
 

 

 


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