(12) 台湾先住民集団におけるADA多型:等電点電気泳動法による
新たなADA変異型の同定

Feng Jin1,斎藤成也2,石田貴文1,Cheih-Shan Sun3, I-Hung Pan4, 尾本恵市5,宝来 聰
1東京大学理学研究科,2進化遺伝研究部門,3省立台東病院,4台湾大学医学部,5国際日本文化研究センター)

 ヒトのアデノシン脱アミノ酵素(ADA)には遺伝的多型があり,通常観察される2種類の対立遺伝子 (ADA*1ADA*2) 以外にデンプンゲル電気泳動法により様々な変異型対立遺伝子の存在が報告されている.我々は等電点電気泳動法を用いて台湾先住民の9種族集団の計654人に関してのADAの多型解析を行った.その結果,3種類の通常の表現型 (ADA1, ADA2-1, ADA2) 以外に,4種類の稀な表現型が観察された.このうち2種類の表現型は ADA*1, ADA*2 と新しい変異型遺伝子 ADA*Taiwan 1 のヘテロ接合体であった.さらに変異型遺伝子 ADA*Taiwan 1のホモ接合体である表現型が観察された.もう1種類は,別の新しい変異型遺伝子 ADA*Taiwan 2ADA*1 のヘテロ接合体であった.このように,等電点電気泳動法によって新たに2つの変異型遺伝子,ADA*Taiwan 1 及び ADA*Taiwan 2 を見出した.デンプンゲル電気泳動法によってこの2つの新しい変異型を検討した結果,等電点電気泳動法で検出された変異型対立遺伝子は通常の対立遺伝子 ADA*1 のサブタイプであることが明らかとなった.今回新たに見つかった対立遺伝子 ADA*Taiwan 1 はアミ族とパイワン族に特に高い頻度(それぞれ 33% と 35%)で存在することが明らかとなった.通常の対立遺伝子 ADA*2 もこの2族において他のアジアの集団よりも高い頻度で見られるという興味深い結果も得られた(それぞれ 13% と 14%).台湾先住民の他の7集団における ADA*2 の頻度は,中国南部の少数民族と似た値となっている.ADA*Taiwan 1ADA*2 の対立遺伝子頻度がアミ族とパイワン族において共に高いことがこの2集団の遺伝的類似性を示しているかは今のところ不明である.また,新たな対立遺伝子ADA*Taiwan 2 はサイセット族の1個体にのみ観察された.詳細は,文献14に発表した.

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