(2) 脳神経系の幹細胞と細胞移動:中辻憲夫,白吉安昭,斎藤哲一郎,浜 太郎1(1総合研究大学院大学)
脳神経系の発生における各種神経・グリア細胞形成の細胞系譜や分化機構については極 めて未知の点が多い.中枢神経系が発生する最も初期の原基に存在するはずの初期幹細胞
から細胞株を樹立して,培養下での細胞分化を解析すると同時に胎仔脳内へ戻した場合の 生体内での発生運命を解析することによって,神経系細胞の増殖分化と脳神経系発生の機
構解明を目指した.細胞株樹立には温度感受性のSV40ウイルスT抗原遺伝子を導入したト ランスジェニックマウスを用いた.8日または9日齢胚から取り出した中枢神経系原基の細
胞から多数の細胞株を樹立することに成功し,これらの細胞株の培養下での神経やグリア への分化能を調べるとともにマウス脳内へ移植する実験を行っている.また脳組織の形成
過程において中枢神経細胞に特有な直交性コンタクトガイダンスが機能している可能性を 探るために,小脳顆粒細胞の外顆粒層から内顆粒層への移動形態を詳細に解析した結果,
直交性ガイダンスが働いていることを示唆する結果が得られた(文献2).
