大学院生からのメッセージ 2006年5月#1
一流のプロに囲まれた遺伝研の研究生活

野口さん線虫初期胚における母性pos-1 mRNA局在化機構解明に挑む
pos-1遺伝子産物は生殖細胞系譜へと局在化し、生殖細胞の正常な分化に必要です。線虫のごく初期胚では他にも多くの細胞運命決定因子が働いていますが、これらの多くは翻訳または翻訳後の制御によって目的の細胞へ局在化する事が知られています。pos-1遺伝子産物はmRNAの状態で既に局在化する点が特異であり、私はこのpos-1 mRNAがどのように局在化しているのか、そしてその意義は何か明らかにする事を目的として研究をしています。

プロの研究者の中で学ぶ
教員の比率が非常に高く、しかもラボメンバーの殆どがプロの研究者。この事は一般の大学と遺伝研が大きく異なる点の一つです。沢山の「プロ」との議論は、日々の研究はもちろん、研究者としてどのように生きていくか考える上でも、大きな財産となっています。
「失敗」という言葉に逃げない
実験が期待通りの結果を出さなかった時、簡単に「失敗」とあきらめるのではなく、それは本当に失敗なのか、失敗なら何故失敗したのか、丹念に考え検証して問題を解決して行く。基本的な事ですが、遺伝研での研究を通じて自分にはこの作業が十分に行えていなかった事を痛感しました。
負け惜しみになるかもしれませんが、お手本となるプロの研究者が無数にいる遺伝研は、この様な自分の抱える問題を見つめ修正していく上でも理想的な環境だと思います。
発生現象を読み解く仕事をしていきたい
小さい頃から昆虫の累代飼育を行っていたせいか、私は発生のメカニズムに強く惹かれています。単純な卵が極めて複雑な成体へと変化していく様は、何度見ても驚嘆させられ、飽きる事がありません。現在、各種の網羅的解析が進み、発生現象に関わるデータもかつて無い勢いで集まりつつあります。この多くのデータを活かし、発生制御の本体に近づいて行く事を目標として研究を続けて行きたいと考えています。




  大学院生からのメッセージ 2006年5月#2
不純な動機もかすんだ、遺伝研の魅力とは?

伊藤さん地元で博士号、しめしめ…
沼津は遺伝研がある三島の隣の市です。私はそこで高校まで過ごし、名古屋大学で神経発生を学びました。修士修了後に遺伝研に来たわけですが、その理由は「実家から通える」「ボスが同じ研究室出身」という事だけでした。地元とはいえ遺伝研の事はほとんど知りませんでしたが、「地元で神経発生が研究できて、博士号がとれるのはオイシイな…しめしめ」と、遺伝研に来た動機は実に不純なものでした。

プ他の大学院ではありえない!
でもこんな不純な動機がかすんでしまうほど遺伝研は色々な魅力にあふれている事が分かりました。中でも普通の大学院ではありえないような事が多いというのが最大の魅力じゃないでしょうか?例えば普通は学生と他の研究室のポスドクが友達付き合いするなど皆無なはずですが、遺伝研ではそれが日常茶飯事です。分野外の人と接する機会が多く、色々な人の色々な話や考えが聞ける事は研究者として多いににプラスになると思います。
楽しい大学院生活が送りたかったら…
また学生同士の交流が非常に盛んな点も、他の大学院と違うと思います。あちこちで自主的に勉強会が開かれており、みんな非常にアグレッシブで野心的。彼らを見ると自分も「なにくそ!」という気持ちになります。研究だけでなくみんなで飲みに行ったり旅行に行ったりする事も。他の大学院のように「研究漬け」で大学院生活が終わってしまうような事はおそらくないでしょう。遺伝研は楽しい大学院生活を送りたい人にオススメです。




  大学院生からのメッセージ 2006年5月#3
研究者の三種の神器:Creativity, Benchwork, and Publication

勝木さん大学院とは何か
大学院は研究者を養成するところだといわれます。優れた研究者になるために求められる能力とは何でしょうか。私の所属する研究室では、「創造性、実験、論文発表」、この三つが研究活動に不可欠な要素であると考えられています 。では、どのようにしてこれらの能力を身に付け、世界の研究者と渡り合えるレベルにまで向上させることができるでしょうか 。この問いに対する具体的な答えを模索することが大学院生活における一つの課題なのかもしれません 。

遺伝研の特徴
遺伝研には、これらの「研究力」を伸ばすためのさまざまな工夫があります。ユニークな入試問題に始まり、プログレス委員制度、英会話講義、英語論文書き方講習などのプログラムは、他人との議論を通じてアイディアを磨き(創造性)、周囲と協力しながら研究を進め(実験)、世の中に成果を発信する(論文発表)うえで役に立っています。このような数々の工夫には、遺伝研の研究者一人一人が持つ研究と教育に対する熱意が表れていると思います。




  大学院生からのメッセージ 2006年5月#4
自分のやりたいことができる

橋口さん動物の体づくりに興味を持つ
私は、大学一年の臨海実習でウニの発生を観察し、その巧妙な形作りに驚いたことがきっかけで発生に関心を持ち始めました。現在、体作りの仕組みの一端を明らかにするために、ゼブラフィッシュという小型の熱帯魚を用いて研究を行っています。私達は、ゼブラフィッシュの胚や稚魚から作成した培養細胞を移植すると、本来の体の軸とは別に二次的な体軸が出来ることを見つけました。そこで、培養細胞が体の軸の誘導に関わるような因子を分泌しているのではないかと考え、その原因となる因子を探索しているところです。この研究は大学時代から一貫して行っていますが、3年前、指導教官の遺伝研への移動と同時に私も遺伝研へと移って来ました。


実際に遺伝研に来てみて感じたのは、研究設備の充実性と研究室間の垣根の低さです。分野や内容にもよるのかもしれませんが、やろうと思えば大抵の研究が出来る設備が整っていると思います。また、現在、生き物の体作りに興味を持つ人たちが有志で行っているジャーナルクラブに参加していますが、様々な分野の方々と議論が出来、楽しみな時間の1つとなっています。
自立した研究者を目指す
遺伝研では、大学院生が自立した研究者になれるような環境が整っています。授業は、基礎的な生物学の講義から、研究者となるために必要な英会話や英語論文の書き方の講義まで様々なものがあります。何よりも、一流の先生方や研究者、やる気ある学生に囲まれていることが常に刺激となります。このような恵まれた環境で、将来独自の研究を自立して行える研究者になることを目指し、自由に研究出来ることを心より感謝しつつ日々を過ごしています。