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線虫を用いた3’非翻訳領域の網羅的解析-マイクロRNA研究などの飛躍的な進歩の基盤を作成-
 

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所の小原雄治所長らのグループは、分子生物学でよく使われるモデル動物である線虫から、メッセンジャーRNAの3’非翻訳領域(タンパク質をコードする領域外の下流部分)の構造を世界で初めて、ほぼ全遺伝子の非翻訳部分の構造をあきらかにしました。本研究はニューヨーク大学、ミシガン大学、米国NCBIおよび東京大学など国内外9機関との共同研究の成果です。この成果は米国科学雑誌「サイエンス」に掲載予定で、先行して6月4日(木)午前3時(日本時間)にオンライン版で公開されました。

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メッセンジャーRNA(mRNA)はタンパク質に翻訳される配列の両側にタンパク質には翻訳されない領域(UTR: untranslated region)を持ちます。mRNAの開始側のUTRを5'-UTR、終了側を3'-UTRとよび、3'-UTRの末端にはポリA鎖がついています。3'-UTR には翻訳などのmRNAの機能を制御する重要なシグナルが埋め込まれているが、全貌は不明でありました。

今回の研究は線虫C.elegansのほぼ全遺伝子の 3'-UTRの構造を明らかにしたものであります。このために、東京大学菅野研究室の協力も得て国立遺伝学研究所 小原研究室で決定した大量のmRNAの両端配列を中心に、他の研究室からの次世代シーケンサのデータ、個別の3'-UTRのデータなどを統合し、国際チームにより約18000遺伝子について約26000種の3'- UTRの構造を確定しました。

その結果、1遺伝子が複数の3'-UTRを持つ場合が多く、その多くは発生時期により使い分けられていることや、3'-UTRの平均長が発生ステージが進むにつれ短くなる傾向が見られました。通常ポリA鎖の少し前にポリA付加シグナル配列が存在しますが、13%のmRNAに典型的なポリA付加シグナルが見られませんでした。これは複数の3'-UTRが見られる場合の短い方で顕著でありました。一般にヒストンmRNAはポリA鎖を持たず、3'-UTRにヘアピン様の構造を作っています。しかし、C.elegansのヒストンmRNAはヘアピン構造に加えポリA付加シグナルとポリA鎖を持っていたことがわかり、こちらがヒストンmRNAの3'-UTRプロセシングの原型の可能性があります。

この解析ではこれらに加えて、多くの3'-UTRのモチーフ配列やマイクロRNAのターゲット配列も見出されました。今後3'-UTRの機能解明が進むことが期待され、本研究のゲノムワイドの3'-UTRの情報が役立つと思われます。

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→ 掲載論文
 

雑誌名:Science
論文名:「The Landscape of C. elegans 3’UTRs
(3’非翻訳領域の全体像)
著者名:M. Mangone, A. P. Manoharan, D. Thierry-Mieg, J. Thierry-Mieg, T. Han, S. Mackowiak, E. Mis, C. Zegar, M. R. Gutwein, V. Khivansara, O. Attie, K. Chen, K. Salehi-Ashtiani, M. Vidal, T. Harkins, P. Bouffard, Y. Suzuki, S. Sugano, Y. Kohara, N. Rajewsky, F. Piano, K. C. Gunsalus, and J. K. Kim.

<問い合わせ先>
知的財産室(広報担当)
室長 鈴木 睦昭
連絡先 055-981-5873