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哺乳類初、マウス卵子から内在性siRNAを発見
 

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近年、20-30塩基対程度の長さの小分子RNAが遺伝子の発現の調節に関わることが明らかにされてきました。これらの小分子RNAは発生や分化など重要な生命現象で働いています。 本研究では、哺乳類の生殖細胞における小分子RNAの働きを明らかにすることを目的として、マウス卵子中の小分子RNAの塩基配列を最先端の次世代シークエンス技術を用いて網羅的に決定し、さらにバイオインフォマティクス(生命情報科学)の手法を駆使して解析しました。その結果、すでに知られていたRNAのほかに、新しい一群の小分子RNAが存在することを突きとめました。新たに発見された小分子RNAは、長い二本鎖RNAからダイサー(Dicer)とよばれる切断酵素によって切られて生じる短いRNAで、内在性siRNAと呼ばれます。今まで、内在性siRNAは植物や線虫で発見されていましたが、哺乳類を含めた高等動物ではその存否が論争の的になっていました。本研究の結果から、哺乳類において内在siRNA存在することが世界で始めて明らかになり、その結果、生物種を超えて保存された進化的に重要なRNAであることが示されました。

マウス卵子本研究チームは内在siRNAが作り出されるのに必要なダイサー切断酵素を欠損させた卵子で、レトロトランスポゾンの働きが活発化していたことから、内在siRNAレトロトランスポゾンの発現を抑制していると結論づけました。レトロトランスポゾンとは、ゲノムに寄生して自分のコピーを増やす遺伝因子の一種です。増えたコピーが別の遺伝子の場所に挿入されると突然変異を起こします。内在siRNAよるレトロトランスポゾンの発現の抑制は、遺伝子の突然変異を抑え、正常なゲノムや遺伝子を次世代に伝えるのに役立っていると考えられます。哺乳類のレトロトランスポゾンには、ゲノム中に数万コピーも存在するものがあることから、レトロトランスポゾンが動き回らないよう抑制することは哺乳類の進化の過程においてとても重要です。

さらに驚くべきことに、このたびの研究により、マウス卵巣内の内在性iRNAの多くが偽遺伝子から作られており、この偽遺伝子からできた内在性iRNAは、偽遺伝子と似た配列をもつ遺伝子を負に制御(抑制)していることが分かりました。多くの生物のゲノム上には、遺伝子に似た構造を持つものの、実際には働いていない「偽遺伝子」とよばれる配列がたくさん存在します。偽遺伝子は遺伝子の残骸と考えられ、その存在意義は不明でした。今回の発見により、無用のガラクタ配列と考えられていた偽遺伝子の働きの一端が明らかになりました。


近年様々な細胞の機能に小分子 RNAが重要な役割を果たしていることが明らかになってきていますが、哺乳類の生殖細胞についてはよくわかっていませんでした。したがって、本研究の成果は、発生や進化の過程における小分子RNAの役割を解明する研究の端緒となる画期的なものでもあるといえます。今後、不妊や遺伝病などの解明につながるものとして期待されます。

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